乾燥肌で肌がかゆい!かゆみの原因と解消する方法とは?
このページは2020年1月10日に情報を更新しました。
なぜ乾燥肌はかゆいの?
気温と湿度が低く、エアコンを使う機会の多い秋冬シーズンは乾燥肌に悩まされる人が増えます。多少カサつくだけならまだしも、白く粉を吹いたりかゆくてたまらなくなったりするととても辛いですよね……。
かゆみは乾燥肌に多くみられる典型的な症状です。なぜ乾燥するとお肌にかゆみが生じるのでしょうか?
乾燥が原因でお肌のバリア機能が低下
「乾燥肌の原因とは? 正しい対処法で潤い美肌を取り戻そう!」で解説した通り、乾燥肌とは角質層のバリア機能が弱まり、水分や皮脂が失われて乾いてしまった状態のお肌です。
角質層が正常でないとバリア機能はうまくはたらきません。正常な角質層は、たっぷり水を含んだ角質細胞と適量の細胞間脂質が隙間なく重なり合って、まるでレンガ壁のように見えます。外部からの刺激に強く、細菌の侵入や水分の蒸発を防いでくれます。
逆に角質層の状態が悪くなるとバリア機能も衰えます。刺激に過敏に反応するようになったり、炎症を起こしやすくなったりします。これこそが、乾燥肌に多いかゆみの原因です。
感覚神経が刺激を受けやすくなる
皮膚の下には多くの感覚神経が通っています。かゆみを感じる神経もその1つで、おもに表皮の下部~真皮の上部に分布しています。
角質層のバリア機能が低下すると、刺激がよりダイレクトに神経に届きます。乾燥肌が過敏に反応を示すのはこのためです。お肌が健康なら反応しない弱い刺激でもかゆみが生じます。そして角質層がボロボロになっているため、少し掻くだけでも肌荒れが酷く悪化します。
さらに乾燥肌が慢性化すると、かゆみを感じる神経が表皮のより浅い部分に伸びてくることも明らかになっています。悪循環に陥らないためにも乾燥が原因のかゆみは早めに改善したいですね。
乾燥肌のかゆみ対策は、バリア機能の回復から
乾燥肌のかゆみは、バリア機能が低下してお肌が過敏な状態に陥ることで起こります。かゆみはお肌からのSOSです。正常なバリア機能を取り戻し、かゆみを解消するための対処法をご紹介します。
乾燥肌のかゆみの対処法①:保湿ケアを徹底する
繰り返しになりますが、バリア機能が正常にはたらくのはお肌が十分に潤っているときだけです。よって、お肌に潤いを与える保湿ケアはかゆみ解消に高い効果を発揮します。
お肌の潤いを保つためには、十分な水分だけでなく適度な皮脂(油分)が必要です。水分は空気に触れると気化します。細胞の周囲を皮脂で覆うことで、水分を逃がさずに閉じこめることができます。
つまりお肌の保湿ケアにおいて、水分補給のあとに適度な油分を与えることはとても重要なのです。
洗顔後や入浴後のスキンケアは化粧水をつけておしまいという方は少なくないと思いますが、これでは不十分です。洗顔後や入浴後のお肌は汚れだけでなく必要な皮脂も落ちてしまっているからです。化粧水のあとに乳液やクリームを塗って水分が逃げないよう蓋をしましょう。
乾燥肌のかゆみの対処法②:部屋を加湿する
秋冬シーズンにはエアコンが大活躍しますよね。東京の賃貸物件では灯油ストーブの使用が禁止されている場合が多いので、とくにその傾向が強いです。自宅と職場の両方で、エアコンの温風に長時間晒されているという方も少なくないでしょう。かくいう筆者もそのうちの1人です。
「秋冬シーズン・部屋の乾燥対策は「温度」と「相対湿度」に注目」で解説した通り、空気が含める水分の最大量(飽和水蒸気量)は温度が上がると急増し、その分湿度は大幅に低下します。
温かくて乾燥した空気に触れると、まるで強奪されるかのようにお肌から水分が失われます。エアコンで部屋を暖めるときは湿度にも気を配りましょう。加湿器を持っていなくても、洗濯物を干したり水の入ったコップを置いたりするだけでも加湿効果は得られます。
乾燥肌のかゆみの対処法③:低刺激素材の服を着る
バリア機能が低下した乾燥肌は非常に過敏な状態にあります。かゆみや違和感が生じやすく、ちょっとした刺激が原因でお肌がボロボロになったり炎症を起こしたりもします。
秋冬シーズンのファッションはお肌をほとんど露出しないスタイルが主流です。寒いので仕方ないのですが、薄着の季節に比べるとお肌と衣服が触れる機会が圧倒的に増えます。衣服が擦れるときの刺激や重ね着によって発生する静電気がお肌の状態を悪化させます。
低刺激素材の衣服を選ぶことで、お肌への負担をかなり減らすことができます。チクチクするウール素材や化学繊維はなるべく避けましょう。とくにお肌と直接触れる下着やインナーはコットン(綿)をはじめとする柔らかい天然素材がおすすめです。
乾燥肌のかゆみの対処法④:食生活を見直す
保湿ケアといえば部屋を加湿したりクリームを塗ったりといった外側からのアプローチが目立ちますが、不健康なお肌は与えられた水分を保持できません。根本的な肌質改善には食生活の見直しが必須です。
肌質改善に必要な栄養素
- ・たんぱく質
- ・ビタミンA
- ・ビタミンB
- ・ビタミンC
- ・ビタミンE
- ・亜鉛
ターンオーバーの周期を正常化したり回復力を高めたりするためには、ビタミンやミネラルをしっかり摂る必要があります。ここで挙げた栄養素は「アーモンド」「ササミ」「豆腐」などに豊富に含まれています。
保湿を徹底すると同時に食生活を整えて、身体の内側からも健康的で丈夫な潤い美肌を作りましょう。
乾燥肌のかゆみの対処法⑤:睡眠をしっかり取る
睡眠不足も肌質を悪化させる大きな原因の1つです。乾燥肌に限らず寝不足が原因でニキビができたり化粧ノリが悪くなったりといったことは誰でも一度は経験しているでしょう。
お肌はターンオーバーによって常に新しく生まれ変わっています。健康的な美肌は正常なターンオーバーによって維持されています。そのターンオーバーを促進し、肌荒れを改善してくれるのが「成長ホルモン」です。
成長ホルモンは睡眠中に分泌されるホルモンで、分泌量が最も多くなる時間帯は22時~2時ごろです。もちろん2時以降に寝ても成長ホルモンは分泌されますが、効率がいいとはいえません。22時は無理でも、日付が変わるまえには就寝するよう心掛けてください。
乾燥肌のかゆみの対処法⑥:掻かずに冷やす
頭では掻いてはいけないと理解していても、かゆいものはかゆいですよね。保湿ケアはもちろんするとして、耐え難いかゆみに襲われたときはどうすればいいのでしょうか?
てっとり早くかゆみを抑えるには、患部を冷やすことが効果的です。寒い日に指先の感覚がなくなるのと同じ原理で、患部を冷やすことで過敏になっている感覚神経を鎮めることができます。
ただし冷やしすぎには注意が必要です。冷えは血行不良を招き、お肌の状態を悪化させます。また冷やすことで発生する蕁麻疹(寒冷蕁麻疹)もあります。冷やしてもかゆみが治まらない場合やかえって悪化する場合はただちに冷やすのをやめてください。症状が続くなら病院を受診しましょう。
かゆみが酷いときに! 効果の高い治療法
掻くのを我慢できないほどかゆみが強い場合や、就寝中に無意識に掻いてしまう場合、そしてお肌が炎症を起こしている場合など、乾燥肌が進行すると保湿ケアだけでは対処しきれなくなることもあります。乾燥肌のかゆみで日常生活に支障をきたすようなら、迷わず皮膚科を受診してください。
塗り薬
塗り薬(軟膏)には炎症やかゆみを抑える成分が配合されています。薬局で買える市販薬にも優秀なものはたくさんありますが、合わない場合は皮膚科にかかるべきです。
皮膚科で処方される塗り薬(軟膏)は個人の症状や体質に合わせて調合するので、最大公約数的な市販薬よりも効果が高く感じます。乾燥肌と寒冷蕁麻疹を併発している場合など複雑な症状にも対処してもらえます。
飲み薬
幹部に直接アプローチする塗り薬とは別に、飲み薬によって体内からかゆみを抑える方法もあります。花粉症などのアレルギー症状を抑えるためにも使われる「抗ヒスタミン剤」は、乾燥肌のかゆみにも力を発揮します。
また幹部がジュクジュクするほど掻いてしまった場合には抗炎症薬が処方されますし、肌質改善を助けるビタミン剤が処方されることもあります。
美容目的のヒルドイド処方は禁止!
皮膚科では「ヒルドイド」という保湿剤(チューブタイプ、ローションタイプ)がよく処方されます。本来はアトピー性皮膚炎などの疾患をかかえた人のための薬なのですが、ここ数年は美容目的の処方が問題視されています。
ヒルドイドはとても安い薬です。それでいて保湿力は超高級美容クリームより高いといわれています。筆者もアレルギー性皮膚炎が酷かったときにローションを処方されたことがあるのですが、使い切るころにはお肌の状態が絶好調になりました。
ですから美容目的でヒルドイドを使いたい人の気持ちもよくわかります。しかしヒルドイドが安いのは保険が適用され、自己負担額が3割になるからです。実際、ヒルドイドの処方量と国の医療費負担額が激増したため、現在では美容目的の処方は事実上禁じられています。
当たり前のことですが治療に必要ないと医師が判断したらヒルドイドは処方されません。患者側から「ヒルドイドをください」というのは絶対にNGです。
まとめ:乾燥肌のかゆみは掻かずに保湿で改善すべし!
本来ヒトのお肌にはバリア機能が備わっています。しかし乾燥した空気に晒され続けると肌細胞から水分が失われ、バリア機能が低下し、ちょっとした刺激にも過敏に反応するようになります。乾燥肌に強いかゆみが生じるのはそのためです。
かゆいからといって掻きむしると、バリア機能はさらに低下し、かゆみや炎症もますます悪化していきます。悪循環を断ち切るためには保湿ケアを徹底し、バリア機能の回復をはかることが重要です。
化粧水やクリームで外側から、食事や睡眠の改善などで内側から、保湿ケアはダブルで行いましょう。また粉ふき肌やあかぎれなど、かゆみ以上の症状が出ている場合はすみやかに皮膚科を受診してください。
20代後半~30代ごろからお肌の保湿力は一気に失われはじめます。乾燥肌のかゆみ対策のスキンケアは5年後、10年後のお肌への投資にもなります。かゆみの有無に関わらず肌質改善に取り組んで、潤いとハリのある健康的な美肌作りを目指しましょう!