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熱中症予防に効果的な空調服とは? 東京オリンピック2020大会に向けて普及する!?

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TOKYO2020大会こと2020年東京オリンピック開幕まで1年を切りました。東京が五輪開催地に決まった当初から懸念されていたことですが、殺人的な猛暑によって選手や大勢の観客が熱中症で倒れる危険性は非常に高いといえます。小池都知事が「空調服」や「被る日傘」をアピールしていますが、はたしてどの程度普及するのでしょうか。

東京五輪2020大会まであと1年、熱中症対策が急がれる

バラ庭園と白い日傘
引用元:https://www.photo-ac.com/

オリンピック東京2020大会は7月24日開催! 命に係わる夏に行う理由が酷い…」では、なぜ選手や観光客の健康が脅かされる危険性を押してでもオリンピックを真夏に行う理由を解説しました。

2020年の東京オリンピック(東京2020大会)開幕まですでに1年を切りました。今さらオリンピックを中止するのは現実的ではないので、東京都は様々な熱中症対策を打ち出しています。

小池都知事が猛プッシュしている暑さ対策グッズが「被る日傘」と「空調服」です。手をふさぐことなく個人に日影を作り、着るエアコンで身体を冷やすのは熱中症対策としてはかなり効果的でしょう。しかし果たしてどこまで普及するかは疑問です。

2019年8月現在、空調服や被る日傘はどこで購入できるのでしょうか。また具体的にどういった効果が期待できるのか見ていきましょう。

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外仕事やアウトドアで大活躍!「空調服」とは

空調服
引用元:https://www.amazon.co.jp/dp/b07R1HVWZZ/

皆さんは「空調服」をご存知ですか? 上の写真のように腰にファンがついている特殊な上着です。工事現場で働く方や配送業の方が着ているのを見たことがあるかもしれませんね。

ファンから外気を吸い込んで上着の中に風を起こす

「空調服」は、腰のファンから外の空気を取り入れ、上着の中に風を起こすことで汗を乾燥させます。「気化熱を奪うと体温が下がるってどういうこと? 汗の乾燥がもたらす効果とは」の記事で解説したように、ヒトは汗が乾くときに身体から気化熱が奪われる仕組みを用いて体温を下げます。

気温と湿度が同じでも空気に動きがあれば汗が乾きやすくなります。空調服は、着る冷房というより着る扇風機といった方が近いです。もとは炎天下で働く人の熱中症を予防するために開発されましたが、最近ではアウトドア趣味の方に人気が高まり、作業服感の薄いオシャレなデザインの商品も増えつつあります。

体温を下げる効果は抜群! ただし吸い込む外気には注意が必要

屋外作業用に開発された商品ですし、理屈から考えても空調服の熱中症予防効果(あるいは体温を下げる効果)はかなり高いです。

しかし「ファンで外気を取り込んで服の中で風を起こす」という仕組み上、取り込む外気次第ではかえって具合が悪くなる可能性もあると指摘されています。腰のファンから吸い込んだ外気は主に首や手首から排出されます。排気ガスを取り込んでしまうと、当然首元から排気ガスが顔に向かって吹きだします。

また混雑度合いが凄まじすぎる場所でも使えないかもしれません。例えば毎年お盆ごろに開かれる夏のコミックマーケット(コミケ)は世界最大のイベントとして有名です。1日あたり10万人以上、開催期間合計で50万人以上もの人が一か所に集まります。

それだけの人数が屋内に集合するとシャッターを開けても空気の循環が不十分になり、蒸発した汗で「コミケ雲」ができます。いってみればエアコンの壊れた満員電車のようなものです。そんな状態の外気を取り込めば……結果は考えたくありませんね(苦笑)

オリンピックの競技会場は、面積に対する観客の割合からして「汗の雲」ができるとは考えにくいです。しかし観光客による混雑と渋滞が重なれば、腰付近の外気の汗湿度が部分的に高くなる可能性は十分考えられます。

2019年現在はアウトドア用品店やネット通販で空調服を購入できます。今後街中で着ても違和感の少ない、オシャレなデザインの商品が増えるのではないでしょうか。

見た目さえ我慢すれば「被る日傘」は混雑時に活躍するかも

引用元:https://www.kasa-higasa.com/SHOP/3810-1.html

「逆さ傘」に「かぶる傘」アイディアレイングッズが流行中!? 通勤にも使えるアイテムとは」の記事でも被るタイプの雨傘を紹介しましたが、小池都知事が最もプッシュしているのが「被る日傘」です。

東京都公式グッズの被る日傘
引用元:https://www.metro.tokyo.jp/tosei/governor/governor/kishakaiken/2019/05/documents/20190524_04.pdf

こちらが2019年5月の会見で発表された「TOKYO」ロゴ入りの被る日傘です。

「ダサい」「伝統の笠の方が日本文化のアピールに繋がるのではないか」など評判はあまりいいとはいえませんが、その一方で「ハンズフリーなので誰もが使いやすい」「一般的な日傘より小さいので人混みでも使える」「実用は被る日傘、お土産は笠とすみ分ければいい」と肯定的な意見も徐々に増えつつあります。

「被る日傘」も農作業や庭仕事用の商品がすでに販売されています。上でご紹介した「空調服」と同様に実用性を追求したアイテムです。

実は世界的に見て、日傘を日常的に使用しているのは日本人ぐらいのものです。日本は雨が多いので傘を持ち歩くこと自体に慣れています。そして湿度の高さもあいまって夏が異常に暑いので「日影を持ち歩く」ことが重要だと身に染みています。

世界中からくる観光客の中には、普段あまり傘をささない人もいるでしょう。荷物も多いでしょうから、人混みで片手がふさがる日傘を使ってもらうのは危険でもあります。その点「被る日傘」なら帽子と同じなので誰でも使えます。

日本人にはあまり普及しないかもしれませんが、外国人観光客向けの東京2020大会記念商品だと考えれば、画期的だといえるのではないでしょうか。「被る日傘」が好評なら、お土産で「笠」も売れるかもしれませんし、世界でも日本製日傘が広まるきっかけになる可能性もあります。

「ミストシャワー」も増設中!

引用元:https://www.photo-ac.com/

「空調服」は服の中に風を起こすことで体温を下げる手助けをし、「被る日傘」はハンズフリーのまま一人分の日影を持ち歩くことで直射日光を遮って体温が上がるのを防ぎます。この2つを組み合わせて使うだけでもかなり高い熱中症予防効果が期待できます。

しかし根本的には「過ごしやすい環境」を作ることが重要です。屋内はエアコンで物理的に気温を下げられますが、屋外はなかなかそうもいきません。そこで「ミストシャワー」の設置が進められています。

ミストシャワーは水分を細かい霧状にして噴射します。霧の粒はとても小さいのでただの水より素早く蒸発します。「打ち水」を機械で効率的にしたものがミストシャワーといえます。実際、富士急ハイランドなどの遊園地ではミストシャワー設置が高い熱中症予防効果を上げているそうです。

東京オリンピック2020大会中の最大の熱中症対策は、間違いなく現地に行かないことですが(苦笑)、そもそも観戦予定がなくても大変な混雑に巻き込まれ、体調不良の人が激増するのは確実です。一人でも熱中症で倒れる人を減らすためにも、日本の夏に慣れていない海外の方に「空調服」や「被る日傘」が普及してほしいですね。

そのためにも、日本人も普段使いしやすいオシャレなデザインの商品が開発されることを願います。

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VENGA編集部
VENGA編集部です。コンプレックスを持つ女性に寄り添う記事をお届けします。

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