靴擦れができる原因は? 症状別対処法と事前対策で快適に歩こう
靴擦れの根本的原因は足と靴がこすれること
新しい靴や慣れない靴を履いたり長時間歩いたときなどにできる靴擦れ。患部はかかとや指が多いですが、足の裏やサイドにできることもあります。赤くなってヒリヒリする程度で済めばラッキーで、無理をすると水ぶくれ(水疱)ができ、さらに酷くなると皮膚が剥けて血が出ます。
靴擦れはなったことがない人の方が珍しいくらいよくある症状(怪我)だと思いますが、そもそもなぜ靴擦れが起きるのかご存知ですか?
靴擦れとは肉刺(まめ)の一種で、靴と足の皮膚がこすれることでできます。
過剰な摩擦刺激を受けると表皮の組織は壊れ、体液が周囲に染み出します。表皮の下に体液が溜まった状態を「肉刺(まめ)」「靴擦れ」と呼びます。火傷の一種で、医学的には外傷性水疱といいます。
靴擦れの直接原因とは?
靴擦れ(肉刺)とは摩擦によってできる皮膚の火傷の一種です。それではなぜ靴擦れができるほど靴と足がこすれてしまうのでしょうか? 靴擦れが起きたときに考えられる直接原因を解説します。
靴擦れの原因その1:靴のサイズが合っていない
サイズの合わない靴を履くと高確率で靴擦れができます。
大きすぎる靴を履くと靴の中で足が泳ぎます。かかとがカパカパする状態を想像するとわかりやすいですが、靴と足の間に余分なスペースが多いと皮膚がこすれやすくなります。また足全体が前方へ滑るため、かかとだけでなく足の甲や指にも圧力がかかり、摩擦が起きます。
逆に小さすぎる場合も、靴の履き口部分が皮膚に食い込んだり、無理に折った指の関節部などが本来あたらないはずの靴と触れてこすれたりします。
靴擦れの原因その2:靴の形が合っていない
サイズより軽視されがちですが、靴の形が足と合っていないせいで靴擦れになることはしばしばあります。典型的な例が、ハイヒールやパンプスのつま先(トゥ)です。
先端が細くとがっているポインテッドトゥは美脚効果が高く、見た目もオシャレなため人気があります。しかし足幅に対して細すぎるポインテッドトゥのパンプスを履くと指先の遊びが不足してこすれてしまいます。しかも外反母趾や内反尖足の原因にもなります。
ラウンドトゥやスクエアトゥでも、つま先の形と靴の形状が合わなければ同じことです。オープントゥの場合はつま先の出口がこすれたり食い込んだりする可能性があります。
靴擦れの原因その3:靴の素材が硬い
エナメル素材のパンプスのような硬い素材でできている靴が原因で靴擦れすることもあります。硬い素材でできた靴は、足の動きに合わせて形が変わりづらく、結果的にこすれやすくなります。靴の縁部分がかかとや足の甲などに食い込みやすいのも素材が硬い靴の特徴です。
靴擦れの原因その4:靴が硬い
靴は履いているうちに次第に柔らかくなって足に馴染んでいくものです。新しい靴や滅多に履かない靴を履いたときに靴擦れができやすいのは、靴がまだ硬いからです。
靴擦れの原因その5:足がむくんでいる
朝靴を履いてきたときは何も感じなかったのに、夕方帰宅するころには痛みを感じるようになっていたというケースもあります。一般的に足は起きてから時間が経つにつれ浮腫んでいくものです。足が浮腫んだせいでフィットしていた靴が相対的に小さくなってしまい、靴擦れの原因になります。
靴擦れの原因その6:歩き方が正しくない
市販の靴は正しい歩き方の人が履く想定で作られています。サイズや形、素材は合っているのに、履く人の歩き方が正しくないせいで靴擦れができることもあります。
靴底がすり減り方が偏っているせいで靴の縁の特定の部分が食い込むケースや、足の軸と靴の軸がズレていて靴の内部が過剰にこすれるケース、正しい歩き方なら靴と触れない箇所が触れてしまうケースなどがあります。
靴擦れの原因・番外:過剰な運動
皮膚が柔らかいほど靴擦れは起こりやすくなります。そして足は想像以上に汗をかきます。汗をかいて足が蒸れると皮膚は柔らかくなります。
長時間靴を履きっぱなしで動き回っていると、足の皮膚が柔らかい状態でくりかえしこすってしまう状態になります。靴が足と合っていても普段よりたくさん運動すると靴擦れができやすくなります。プロアスリートですら靴擦れが原因で試合を棄権することは珍しくありません。
足に合う靴を買う方法
靴と足がこすれることで靴擦れが起こるということは、足にフィットする靴選びができれば靴擦れを減らせるということです。自分の足に合った靴を選ぶ方法をご紹介します。
自分の足のサイズを正確に把握する
皆さんは自分の足の正確なサイズをご存知ですか? 普段買う靴のサイズを訊かれたら「23.5cm」「Mサイズ」などと答えられると思いますが、それ以外の“サイズ”は把握していない人が大半を占めるでしょう。
足のサイズには「かかとからつま先までの長さ(足長)」以外にも、足幅(いわゆるワイズ)や足囲などが含まれます。足長が合っていても、ワイズが合わなければ靴擦れしやすくなります。
そもそも足長を誤解している人も多いです。正しい方法で測ると1cm近く違うこともあります。また左右でサイズが違う人も珍しくありません。足のサイズ測定は自分でもできるので、一度は測ってみてください。
シューフィッターのいる店で買う
自分で測るのが面倒くさい人や、うまく測れない人はシューフィッターに測定をお願いしましょう。シューフィッターはすべての靴屋さんにいるわけではないので、事前にネットで調べてみてください。
実店舗で試し履きしてから買う
最近はネット通販で靴を買う人も多いですよね。安いですし、デザインや選択肢が豊富ですし、なにより便利なので気持ちはわかります。しかし靴擦れ対策の観点からは、ネット通販はNGです。
自分に合う靴を買いたいなら実店舗に赴いてしっかり試し履きすることです。表示上のサイズが合っていても、素材やデザイン、メーカーによって出るバラつきは大きいので、自分の足に合うとは限りません。
試し履きは足がもっとも浮腫む夕方に行い、実際に使うシーンを想定して靴下やストッキングを履きましょう。片足だけでよしとするのではなく、両足とも履いて、店内をしっかり歩いてください。ただ履くだけならアリでも、歩くと違和感が出ることはままあります。
オーダー・セミオーダーする
一般的に流通している靴で合うものがない人やこだわりたい人は、オーダーやセミオーダーの靴をおすすめします。フルオーダーは非常に高価で作成にも時間がかかるので、最初はセミオーダーから始めるのがいいと思います。
立って歩くことは人間の動作の基本です。一生涯を健康に過ごすには、足の健康が欠かせません。とくに市販品に合うサイズがない方にとって、オーダー・セミオーダーの靴は長い目でみると良い投資になります。
事前にできる! 靴擦れ対策
足のサイズや形は人それぞれなので、市販の靴がジャストフィットする人ばかりではないでしょう。しかしある程度の差は埋められます。事前にできる靴擦れ対策をご紹介します。
靴下やストッキングを履く
靴下やストッキングは汗を吸収し、足を保護してくれます。また靴下やストッキングを間にはさむことで摩擦が減るので、靴擦れしにくくなります。逆に少々サイズの大きい靴を厚手の靴下を使って履きこなすことも可能です。
最近は靴下型のストッキングや、靴で隠れる丈の靴下も販売されています。靴下を見せたくない人やパンストが苦手な方でも抵抗が少ないと思います。
また靴下やストッキングを履いたうえで、靴擦れができやすい箇所にワセリンを塗るとより効果が高まります。急に履きなれない靴を履かねばならないときに役立つテクニックです。
遠出する前に慣らし履きする
買ったばかりの靴で出かけたくなる気持ちはわかりますが、まずは自宅の近くで慣らし履きをして足に馴染ませましょう。新しい靴を履くと必ず靴擦れしてしまう人は特に念入りに行うべきです。ヒールが高めの靴や硬い素材の靴に有効です。
シューキーパーで靴を広げる(伸ばす)
素材の固い靴や微妙に小さい靴は、シューキーパーを使って靴の内部を広げ(伸ばし)ましょう。シューキーパーは靴の中に入れて時間を置くことで、自然と靴を広げ、柔らかくしてくれる道具です。
100円ショップでも販売されていますが、靴のシルエットを大事にしたいなら避けた方がいいと思います。1つあればさまざまな靴に使えるので、毎回靴擦れに悩まされる人は持っていて損はないでしょう。
中敷き(インソール)を入れる
サイズ補正力が高いのは「中敷き(インソール)」です。全体に敷くタイプとつま先にだけ入れるタイプがあります。ヒールの高い靴を履くときに足が前に滑るのを防いだり、甲が薄い人の底上げに使えます。高機能なインソールは立体的に作られていて、土踏まずのアーチを支える機能やクッション機能もあります。
足長と足幅(ワイズ)の両方が市販サイズと微妙に違い人や、サイズの左右差が大きい人にとってはマストアイテムと言っても過言ではありません。また偏平足や不自然な歩き方もインソールで改善されることがあります。
小さいサイズを無理に履くより、1つ上のサイズを買ってインソールを入れて調整する方が足の健康を守れます。
靴紐をキツく結ぶ
意外と見落としがちなのが靴紐の結び方です。着脱を簡単にするために少し緩めに靴紐を結んでいる人が多いと思いますが、靴擦れ対策としても靴の履き方としても間違っています。
靴紐をしっかりキツく結び、甲の部分がキュッと固定されていて、指先に余裕がある状態が正しい靴の履き方です。靴の中で足が泳がず、適切な位置に適切に体重がかかるため、靴擦れができなくなるだけでなく歩きやすくなりますよ。
早めに手当てしよう! 靴擦れの対処法
ここまでは靴擦れができる前、靴を履く前にできる対策をご紹介しました。次に、靴擦れができてしまった場合の対処法をご紹介します。
靴擦れは、「皮膚が赤くなってヒリヒリする」→「水ぶくれ(水疱)ができる」→「水ぶくれが破れて血が出る」→「患部が膿む」という風に段階的に重症化していきます。
たいていの人が「靴擦れした」と認識するのは水ぶくれができた段階だと思います。しかし実際には「ちょっと足が痛む」「違和感がある」という段階で、靴擦れは始まっています。そして早い段階で対処するほど重症化を防ぎ、治るまでの時間も短縮できます。
ワセリンやリップを塗る
水ぶくれができる前に、「我慢できるけどちょっと痛い、ヒリヒリする」という感覚があるはずです。いわゆる靴擦れができるかもと感じた時点ですぐに対処すれば、違和感だけで治まる可能性も高まります。
まだ水ぶくれができておらず皮膚が赤くなっているだけの段階なら、ワセリンやリップを塗って滑りをよくすることで悪化を遅らせられます。
ティッシュをつめる
足に違和感があるけれどワセリンやリップがない場合や、明らかにサイズが合っていないのがわかる場合、つま先やかかとにティッシュを詰めて一時的にサイズ調整することで悪化を遅らせられます。
応急処置ですが靴がカパカパするのを抑えるだけで歩きやすくなるので、悪い歩き方が原因の靴擦れを防ぐ効果もあります。
絆創膏を貼る
靴擦れ対処において皮膚の保護はとても重要です。靴擦れの症状に気づいたら、まだ液体や血が出る段階でなくても患部に絆創膏を貼りましょう。可能なら消毒すべきですが、消毒できない環境でも絆創膏をクッション代わりにできるだけでも対処としては有効です。
履きなれない靴を履くときはカバンに絆創膏を入れておくのが吉です。また緊急時はコンビニにも売ってるのでご利用ください。
貼った絆創膏が剥がれると余計悪化するかもしれないので、剥がれないよう絆創膏の上をガーゼやテープで覆うとなお良いでしょう。靴擦れ専用の絆創膏(かかと全体を覆えるT字タイプや指に巻きやすいタイプ)があると便利です。
ちなみに傷口は乾かすよりも保湿する方が治りが早くなります。そういう意味で、重症化して水ぶくれが破れてしまった靴擦れにも絆創膏は有効です。
水ぶくれ(水疱)は潰さない
水ぶくれを潰すか潰さないか迷うかもしれません。特に絆創膏を貼る場合は水ぶくれの盛り上がりはない方が良いと感じる人もいるでしょう。
実際は、水ぶくれはなるべく潰さないのが正解です。水ぶくれ内部の体液は、時間が経つと自然と再吸収されていきます。無理に潰すと却って治りが遅くなったり、傷口に雑菌が付着して化膿する危険がたかまります。
ただし今にも破れそうな場合は放置するより、清潔な環境で破って絆創膏で保護した方がいいです。
まとめ:フィットする靴を選び、靴擦れ防止グッズを使おう!
靴擦れは、足と靴がこすれなければ起こりません。なるべく足にフィットする靴を選び、フィット具合を高める靴擦れ防止グッズを使うことでかなり防げるでしょう。
もし靴擦れになってしまっても、なるべく早く対処することで悪化は防げます。
この記事で紹介した靴擦れ対策をしながら、正しい歩き方を身につけてください。値段やデザインを優先してしまいがちな靴ですが、足の健康についても考えてくてくださいね!