履くだけで足痩せ? 話題の加圧脂肪燃焼ストッキングの効果とは
はじめに
食事制限や運動を行っても効果が出にくく、痩せるのが難しいといわれている下半身。中でも足痩せに苦労している女子は多いことでしょう。ミニ丈のスカートやホットパンツ、スキニーなシルエットのレギンスなど、足が細ければ楽しめるおしゃれの幅もぐんと広がりますよね。
そんなニーズにフィットするさまざまな足痩せ商品が出ているなかで、最近よく耳にするのが履くだけで脂肪燃焼の効果があるといわれる、その名も加圧式脂肪燃焼ストッキングです。
美脚なモデルや女優さんが「履くだけで、翌朝にはこんなにスッキリ」とうたうCMを見ていると「ほんとかな~」と思いつつも、試してみたくなってしまいます。
過剰に商品のメリットをPRしているCMやブログは多いですが、実際に履くだけで足の脂肪が燃焼されるものなのでしょうか。寝ているときに履くだけで効果があるのか、デメリットはないのかなどについても見てみましょう。
衣服圧を利用して足に圧力をかけるストッキング
一般的に「脂肪燃焼ストッキング」として販売されているものの多くは「加圧式」と呼ばれるタイプです。弾力のある素材を使用したストッキングで、足首やふくらはぎなど足の部位によってかかる圧力を調整し、履くだけで足全体に適度な圧力がかかる仕組みになっています。
ここで疑問なのが、なぜ足へ圧力をかけることが脂肪燃焼につながるのか、ということですね。
これは筋肉に圧力をかけてエクササイズをすることで、より高い運動効果が得られるとされる「加圧式トレーニング」から来ているようなのです。
筋肉に圧力をかけた状態でトレーニングをすることで脂肪が燃焼されやすくなるのだから、圧力の高いストッキングやレギンスを履けば、日常生活でも運動しているのと同じ効果が得られて脂肪が燃焼できる、という説明をよく目にします。
実際に、脂肪燃焼ストッキングには説明通りの効果が期待できるのでしょうか。
はたして、加圧トレーニングと同じ効果があるのでしょうか。
医療用の加圧ストッキングにはむくみ防止効果がある
心臓から遠い位置にあり、重力の影響を受けやすい足には、体液や血液が溜まりやすくなっています。立ち仕事や座り仕事が多いと、夕方に足がむくんだりするのはそのためです。
足がむくむ原因として、長時間同じ姿勢を続けることのほか、塩分の多い食事や水分の摂り過ぎ、体液を送り返すポンプ機能の役割をする足の筋肉が少ないことなどが挙げられます。
この足のリンパや血流を促す目的で医療用に開発されたストッキングやソックスがあり、着用することで足のむくみをおさえてスッキリさせるものですが、脂肪燃焼ストッキングはこの医療用の加圧ソックスと構造はほとんど同じです。
市販されている加圧ストッキングが医療用のものと同じ弾性かどうかはわかりませんが、足に圧力のかかるストッキングやソックスを着用することで血行をうながし、むくみ防止の期待はできるでしょう。
それでは、脂肪燃焼についてはどうでしょうか。
足の脂肪燃焼には高い運動強度が必要
実のところ、脂肪燃焼ストッキングを履いただけでは脂肪が燃焼される効果は得にくいと考えられます。
加圧トレーニングも有酸素運動も、脂肪を燃焼させるには一定以上の強度、時間で筋トレを行う必要があり、運動をするからこそ加圧の効果が実感できるわけです。ただストッキングを履いただけで脂肪が燃えてくれるのなら、正直苦労はしないですよね。
仮に脂肪燃焼ストッキングを着用した状態で、強めの筋トレや長時間の有酸素運動をしたなら、履いていないときよりも効果が高まることはあるかもしれませんが、こういった使い方には少し注意が必要です。国民生活センターでは、加圧式のスパッツを着用した状態で長時間体を動かすことで痛みや赤み、しびれといった症状が出るケースがあるとして事例を紹介しています。
そもそも足のむくみには、ポンプ機能のある筋肉が少ないことにも原因があり、筋肉が足りないのは運動不足が原因となっています。加圧式の脂肪燃焼ストッキングで脂肪を燃焼させ、少しでも足を細くしたいなら、むくみがひどくならないように食事を改善したり、適度な筋肉をつける運動を毎日の生活に取り入れた方が建設的だといえるでしょう。
まとめ
加圧式の脂肪燃焼ストッキングには、着用することで足のむくみをスッキリさせる効果は期待できますが、肝心の脂肪燃焼効果は有酸素運動や筋力アップに取り組む方がよさそうです。
むくみがひどく、脂肪燃焼ストッキングは少しでも足をスッキリさせたいときに、むくみ防止で使うのが賢いのかもしれませんね。