熱中症&日焼け対策は生地選びから! ファッション性を損ねない涼しい天然素材とは
日差しが強い時こそ肌を隠すべし
早いものですが、2019年も半分が過ぎました。梅雨が明ければ本格的な夏が始まります。2019年6月25日に気象庁から発表された資料によると、今年の7~9月の気温は平年並みになる見込みだそうです。
平年並みとは、過去10年(この場合2009年~2018年)の平均と同じくらいという意味です。地球温暖化とヒートアイランド現象の影響で夏の気温は上昇傾向にあるので、今年もものすごく暑くなる可能性が高いといえそうです……。
というわけで本格的な夏が到来する前に暑さ対策を進めなくてはなりません。
肌をどのくらい露出する?
「涼しい服装」と言われると露出度の高いファッションを思い浮かべる方も多いと思います。確かに半袖シャツやノースリーブワンピースなどを着る機会が増えます。人目がない自室では裸族になる人も実は結構多いと聞きます(笑)
暑い時に薄着するのは理にかなっています。以前「着ぶくれ&肩こり知らず! 服の素材と重ね着を変えて温活しよう!」という記事で、冬ファッションの保温性において、お肌と服の間にある空気の層の保持が重要だと解説しました。夏はその逆で、お肌と服の間の通気性が高いほど涼しく過ごせます。
だからといってやみくもに露出度の高いファッションをすればいいというものではありません。通気性や吸湿性がわるい服を着ると、汗がうまく乾かず、体温調整が難しくなります。またある程度以上暑くなると、お肌を日差しに晒さず隠した方が体温上昇を防げます。
「気化熱を奪うと体温が下がるってどういうこと? 汗の乾燥がもたらす効果とは」の記事でも解説した通り、熱中症対策で重要なのは、汗が乾きやすい環境を作ることです。本記事では、通気性や吸湿性の高い天然素材をご紹介します。涼しい素材でお肌を覆って日焼け対策も同時に行いましょう!
リネン
春ごろから増え始める「リネン」素材。シーツなどの寝具によく使われることから、ホテルや病院の寝具を保管する部屋を「リネン室」と呼ぶことがあります。最近は薄手の生地を使ったシャツワンピが人気です。厚手のものは帆布・カンバス生地と呼ばれます。
リネンは亜麻(あま)の繊維を織った布地です。日本では大雑把に「麻(製品)」とくくっていますが、麻と亜麻は全く別の植物です(輸入ものの布地で質感が似ているものをまとめてしまった過去があります)。麻がザラついているのに対し、リネンは肌触りがすべらかです。
植物繊維から作られていることからわかるように、特に薄手のものは通気性と吸湿性が抜群です。かいた汗を素早く吸収し蒸発させてくれるので、日本に限らず暑い地域の服を作るのにうってつけの生地です。実際、中東では肌着に使われています。
染めていないものは生成り色で、ナチュラル系ファッションとも相性がいいです。
コットン
「コットン(綿)」はワタ(木綿)から取れる繊維です。とにかく吸湿性(吸水性)が高いので、タオルや下着類によく用いられます。
よく汗をかくシチュエーションではコットン素材は大活躍します。コットン素材のTシャツはとても身近なものです。刺激が少ないので敏感肌の方でも着やすいという特徴があります。下着以外の用途では、コットン100%ではなく他の繊維を混ぜたものもよく見かけます。
シルク
リネンとコットンは植物繊維なのに対し、「シルク(絹)」は蚕の繭が原料の動物繊維です。養蚕の歴史は非常に古く、現代に続く高品質な絹を生み出す蚕の品質改良は、江戸時代に勧められました。明治時代の文明開化時には、重要な基幹産業でもありました。
シルク、絹ときくと、ツヤツヤと光沢がある布地で、普段着に使うものではないと考える方も多いと思います。実際、目立つのはサテンのドレスなどでしょう。また水に弱いという特徴から洗濯が難しいという欠点もあります。
しかしシルクはひんやりしているので、夏の下着(タンクトップ)に向いています。シルク100%は高価で日常使いしづらいですが、部分的にシルクが用いられているアイテムなら使いやすいと思います。
涼しい素材の上着を着よう
ヒトは汗をかき、その汗を蒸発させることで体温を下げます。暑い時期に涼しく過ごすには、素早く汗を吸収してくれて風通しの良い素材の服を着ることが重要です。また日傘で影を作ると涼しく感じるのと同様に、直射日光がお肌にあたらないようカバーすることも大切です。
暑さを防ぐためにはファッションの露出度を上げるのではなく、吸湿性・通気性の高い素材の服を選び、薄手の上着を着て肌を隠す方が効果的です。