自転車との衝突事故を自衛しよう! 歩行中も周囲の状況や自転車の動きに注意して
交通事故はいつ起こるかわからない
2019年4月は平成最後の月です。いつも以上に忙しい年度末・年度初めを迎える方も多いのではないでしょうか。
さて、春といえば新生活がスタートする季節ですね。あなた自身には大きな変化がなくても、周囲にはきっと生活が激変する人がいるはずです。例えば、新社会人や新入生たちです。
以前の記事で(春の全国交通安全運動、実施中! 4月~7月は子供の動きに注意して)最も交通事故に合いやすいのは7歳男児(小1の男の子)だということをご紹介しましたが、通勤・通学に不慣れな人が増える今の時期は大人も油断すべきではありません。
春になると自転車に乗る人が爆発的に増えます。通勤・通学経路が変わった人や、気候がいいときだけ乗る人、年度替わりを区切りに一念発起して乗り始める人など様々です。
自転車は運転免許がなくても乗れます。交通ルールを理解していない自転車ユーザが大量に出現するのが春という季節なのです。
もし自転車と歩行者が事故を起こしたら、法的に責任が重いのは自転車です。しかし現実的に考えて酷い目に合う可能性が高いのは歩行者です。
いまどきの自転車は静かで速度が出るものが多いので、事故を起こしたら双方ちょっとした怪我だけでは済まないケースも多々あります。自分の人生と命を守るために、歩行者ができる自衛策をまとめました。
自転車=車道が原則だけど…
運転免許は不要ですが、自転車は「軽車両」に分類されています。2015年の道路交通法改正により自転車の交通ルールが以前より明確化され、同時に取り締まりも厳しくなりました。
とはいえルールが周知されているとは言い難い状況です。また免許証なしで乗れるからこそ、ちょっとした違反が大事故につながることを実感していない人も大勢います。
実は自転車も歩道を走れる場合がある
自転車は車道(の一番左端)を走らなくてはいけないということはご存知ですよね。しかし街中を歩いていると、案外多くの自転車が歩道を走っていると思いませんか? 実は「歩行者優先」という標識がある道路では、合法的に自転車も歩道を走れるのです。
日本には交通量の多さのわりに道幅が狭い道路がたくさんあります。そういう場所で自転車を車道に出してしまうと交通事故が頻発します。また配達用自転車(チャリアカー)は一般的な自転車より横幅が広いため、交通のさまたげになってしまうことがあります。
こういった事情で必ずしも歩道走行がルール違反とは限りません。しかし速度を落とさない自転車と歩行者の接触は後を絶ちません。
左側通行を守らない人がいる
自転車は「軽車両」なので左側通行しなくてはいけません。逆走行は大きな事故につながります。
しかししばしば右側を走っている人を見かけます。横着をしているだけの人もいれば、対向車が見えないと怖いという自分勝手な理由を持っている人もいるようです。
本当はいてはいけないのですが、右側通行の自転車がいることも想定しておきましょう。
電動アシスト自転車は加速が強い
性能が上がり値段が下がって普及した電動アシスト付き自転車。子持ちの方や通勤通学距離がやや長い方に大人気です。また配送業者のチャリアカーにも採用されています。東京は想像より凹凸の多い場所ですが、電動アシストがあれば坂道だって余裕です。
電動アシスト自転車は、速度によって自分で漕ぐ力とアシスト力の比率が変わります。速度が出るにつれアシストが減り、一定上の速度が出ないように設計されています。
逆に最も速度が出ていない漕ぎ始めは強いアシストがかかります。電動パーツが重いので素早く加速しないと安定走行できないという事情もあります。見た目は自転車ですが、ある意味新種の乗り物なので、歩行者も運転者自信も挙動を予測できないことがあります。
自転車の走行音が聞こえない
性能が向上しているのは電動アシスト付き自転車だけではありません。普通の自転車、いわゆるママチャリも以前と比べると進化しています。車体が軽くなっていますし、ライトも車輪の動力を使わずに自動点灯するものが多数派です。
無灯火運転が減るのはいいことですが、走行音が静かになった結果、すぐそばまで近づかないと自転車に気付きにくくなりました。イヤホンで耳が塞がっていると猶更です。
歩行者が特に気を付けるべき場所とは?
自転車の運転ルールの不徹底、そして自転車自体の性能向上が事故を招いていることがわかりました。それではどのような場所で事故が起こりやすいのかを見ていきましょう。
交差点
自転車に限ったことではありませんが、交差点は事故が起こりやすい場所です。
自転車は自動車より初期の加速が速いです。混雑や自動車との接触を避けるためにも信号が変わった瞬間にサッと交差点を通り抜ける自転車が多いです。また歩行者用信号が青になる前に強引に左折しようとする自転車もいます。
服やバッグをひっかけられないよう、交差点では車道ぎりぎりではなくやや内側に立つようにしましょう。
また乗り物には「内輪差」が存在します。車体が長い乗り物が曲がるとき、前の車輪よりも後ろの車輪の方がカーブの内側を通る現象です。
バスやトラックの後輪は要注意です。自転車が巻き込まれ、その事故に巻き込まれる可能性もあります。
街路樹・植え込みや看板が多い場所
都心部では緑化活動の一環として、街路樹や植え込みが整備されています。緑が増えるのはいいことですが、交通の観点からは死角が増えるというデメリットが発生します。
歩行者も自転車も、注意を払っているつもりでも相手に気付かないことは多々あります。死角とはそういうものです。道路上に視界を遮るものが多い場所は特に注意して歩きましょう。
また生活の中で、配達業者をよく見かける場所も注意が必要です。配達業者と接触する可能性もありますし、チャリアカーが死角になっている場合もあります。
自分の身は自分で守ろう!
少し前、歩行中の高齢者を危険運転の女子大生がはねる悲惨な事故がありました。さすがにそこまで酷い運転をしている人は滅多にいませんが(たまに見かけます…)、気を付けるにこしたことはありません。
もちろん自転車側が100%悪い事故ばかりではないでしょう。しかしどういう理由であれ、たいていの場合、自転車より歩行者の方が重い怪我をします。場合によっては障害が一生残ることもあります。
ほんの少し注意を払えば、避けられる事故もあります。自転車運転に慣れていない人が多い春先だけでも、いつもより周囲の様子に気を配ってくださいね。