目薬をさすと口の中が甘くなるのはなぜ? 健康に与える影響とは
花粉、疲れ目、ドライアイ…目薬が大活躍
現代人は目を酷使する生活を送っています。一日中デスクワークでPCに向かい、プライベートでもスマホを見つめる毎日です。目の使いすぎは、視力の低下以外にもさまざまな悪影響を及ぼします。
PCやスマホを使っているとき、わたしたちの瞬きの回数は極端に減ります。疲れ目やドライアイはもはや国民病といっても過言ではないでしょう。
疲れ目やドライアイは集中を妨げます。肩こりや頭痛の原因にもなります。花粉症の方やアレルギー体質の方は痒みや痛みを覚えることもあります。
目薬はわたしたちの生活に欠かせないアイテムです。とくにコンタクトレンズを使用している方は、裸眼や眼鏡の方に比べて目に負担がかかるので、目薬を手放せない方が多いと思います。わたしも会社のデスクと通勤用バッグに常備しています。
目薬をさしたあと染み込んでいく感覚はとても爽快ですよね。でもたまに目薬が奥にまで入り込みすぎて、口の中に甘いような苦いような妙な味が広がることもあります。そうなると喉がイガイガして、ちょっと気持ち悪いですよね…。
目薬はなぜ甘いのでしょうか。そもそも、どうして目にさしたはずの薬が、口に流れこむのでしょうか。目薬を飲み込んでも健康に悪影響はないのでしょうか。甘くて苦い目薬の謎について調べました。
なぜ目薬が鼻・口・喉に流れるの?
まずはなぜ目にさしたはずの目薬が、鼻や口に流れこむのか見てみましょう。
涙は目の上の涙腺で生まれる
涙といえば泣いたときに目からあふれ出るものという印象が強いですが、実際には1日中分泌されています。瞳の表面を水分(涙)で覆うことで、保護したりまぶたの動きをスムーズにしたりしているのです。
涙は涙腺で作られます。涙腺は目尻側の上まぶたにあります。正常な状態では1日に2~3ccの涙が分泌されます。目や目に近い部位(鼻粘膜など)に刺激を加えられたり、感情がたかぶったりすると一時的に涙の分泌量が増えて、目から溢れます。これが「泣いている」状態です。
目と鼻はつながっている
目の表面を覆っている通常量の涙は、目からこぼれることはありません。目頭の近くにある涙点から涙小管を通って、涙嚢に溜まります。涙嚢は鼻涙管につながっていて、涙は鼻経由で喉に落ち、飲み込まれて再吸収されます。
涙の分泌量が多いと、鼻涙管から鼻水として外へ排出されることもあります。泣くと鼻水が出るのも、目のアレルギーが鼻に影響を与えるのもこのためです。
目薬も鼻を通って口や喉に流れこむ
涙と目薬はどちらも成分のほとんどが水分です。つまり目薬が涙小管から鼻や喉に流れるのは当然のことなのです。
しかしせっかくさした目薬がすぐに流れてしまうのは困りますよね。1度にさす量を調整しましょう。また涙点(涙小管の取水口)は目頭側にあるので、目尻側にさすことですぐに流れてしまうのを防げます。
目薬の甘みの原因成分とは?
目薬は用途ごとに細かく製品がわかれています。ドライアイに潤いを足してくれるものや疲れ目を癒してくれるもの、アレルギー性の痛みや痒みを抑えてくれるものなどが人気です。目に炎症を起こしている場合は、眼科で処方されるものを使います。
いずれにせよ目薬(点眼剤)は目にさして使うものです。飲むものではありません。最終的には喉に流れるとはいえ、味を感じるほど飲み込んでしまっても健康に影響はないのでしょうか?
少しくらいなら飲んでも平気
1日に分泌される涙の量がたった2~3ccということからわかるように、目薬も大した量ではありません。目薬の1滴の量は、さし口の大きさにもよりますが30μl~70μl(0.03ml~0.07ml)=0.03cc~0.07ccです。
驚くくらい少量ですね。この程度なら喉に入り込んでも問題はありません。ただし使い方は絶対に守ってくださいね。
甘みや苦みは有効成分の味
目薬が鼻を通って喉に落ちることで甘みや苦みを感じます。つまり甘みや苦みは目薬の有効成分の味なのです。
たとえば炎症を抑える成分「グリチルリチン酸ジカリウム(グリチノンK2)」は、甘草に含まれている成分で、甘みを感じます。さまざまな目薬に使われているので、「目薬は甘い」と感じる人が多いのです。
目薬の甘みや苦みが苦手な方は、薬局で薬剤師さんに相談してみてください。味のしない(薄い)成分の目薬があるかもしれません。
結論! 目薬が甘くても問題ナシ
目薬には炎症を抑える薬や、抗ヒスタミン剤、ビタミン剤などが含まれています。これらの有効成分が鼻を通って喉に流れこむことで、独特の甘みや苦みが口に広がります。少量なら目薬を飲み込んでも問題はありません。気になる方は、さす量を少なくしたり、鼻に流れこまないように工夫しましょう。