歌会始は誰でも参加(詠進)できる可能性あり! 令和初のお題は「望」に決定
天皇陛下即位を待って、歌会始のお題が発表された
新天皇が即位し、元号が「令和」になってからはや3ヶ月が経とうとしています。みなさんはこの3ヶ月で「令和」を使う機会はありましたか? 筆者は引っ越したので、各種書類に記入しました。戸惑うかと思いましたが、そもそも平成時代もほぼ西暦しか使わなかったので、思ったより違和感を覚えませんでした。
崩御にともなう御代替わりではないので、令和の幕開けは喜ばしいこととして捉えられました。皇室行事にも注目が集まっています。三種の神器が実在していることは、海外にも驚きを持って報じられましたね(フィクションにしか登場しない伝説のアイテムだと思われていたようです)。
わたしたち一般人が参加できる皇室行事はそう多くありません。最も有名で、現地に行きさえすれば参加できる行事は「一般参賀」ですね。上皇陛下がお出ましになる機会はぐっと減るため、平成最後の一般参賀には多くの人が集まりました。
一般人の中から選抜された人だけが参加できる行事もいくつかあります。そのうちの一つが「歌会始(うたかいはじめ)」です。春の園遊会などと違って素晴らしい実績を残した著名人でなくても、参加できる可能性はあります。「歌会始」とはどのような行事なのでしょうか?
毎年1月に開催される「歌会始」
「歌会始(うたかいはじめ)」とは、毎年1月に開催されるその年で最初の歌会です。宮中主催の儀式は、正式には「歌会始の儀」といいます。歌会とは和歌を詠んで披露する会合のことで、宮内庁に限らず民間の和歌教室などでもしばしば開催されます。
「歌会始の儀」は少なくとも鎌倉時代には行われていた記録があり、江戸時代には現在と同じように毎年1月(当時は旧暦)に開催されるようになりました。
もともとは皇族と貴族、公家だけの集まりでしたが、明治7年(1874年)からは一般人の詠進が認められるようになり、第二次世界大戦後の昭和22年(1947年)以降は詠進された和歌を歌人が選考し、選ばれた歌の作者も歌会始に招待されるようになりました。
普段は1月に天皇陛下が選ぶ翌年の「お題」が公表されるのですが、2019年(平成31年~令和元年)は5月に御代替わりが行われるため、公表は皇太子殿下が天皇に即位されてからとなりました。
新天皇陛下(徳仁さま)が主催の歌会始は、令和2年(2020年)の1月が初となります。令和初のお題は「望(のぞみ)」です。和歌の中に「望」という字を使うか、のぞみ、のぞむといった言葉を入れるルールです。
一般人も自作の和歌を詠進(応募)できる
一般人が歌会始のために和歌を詠んで応募することを、「詠進」といいます。天皇陛下に和歌を献上するという意味です。応募資格はすべての人にあり、海外からの詠進も受け付けられています。
ただし一人が詠進できるのは一首(和歌1つ分)だけで、未発表のものに限ります。
半紙に毛筆で短歌を書く
大昔から続く行事なので、病気や障害など特別な事情がない限り、半紙に毛筆で和歌を書かねばなりません。毛筆が使えない場合はその理由を別紙に沿えて、代筆・ワープロ・点字でも詠進できます。また海外からの詠進は(習字道具が手に入れづらいので)ペン書きでも可とされています。
文字のうまい下手は選考に関係ありません。普段から和歌や毛筆に慣れ親しんでおらず「令和に改元された記念に応募(詠進)してみよう」という方でも、選者が読めるレベルの文字なら問題ありません。
半紙は上の図のように横長にして半分に折ります。右側にお題(今年は「望」)と歌、左側に住所・氏名・電話番号・性別・職業を書きます。詠進する時点で無職の方は、「無職」と書くか、無職になる以前に就いていた職業を書いてください。
短歌は「5・7・5・7・7」(31文字)が基本
「歌会始」で公募されている和歌は「短歌」です。俳句・川柳ではありません。
短歌とは「5・7・5・7・7」の31文字で詠まれる歌です。百人一首に選ばれているようなタイプの和歌のことですね。基本形は五七五七七ですが、字余り・字足らずはもちろんありです。
ちなみに過去の歌会始のお題と披露された歌は(詠進された中から選ばれたものも含めて)宮内庁のサイトで閲覧できます。皇族の詠まれた歌には解説もつけられていますので、是非参考にしてください。
詠進の締め切りは2019年(令和元年)9月30日(消印有効)です。まだ2ヶ月以上余裕があるので、我こそはという方は応募してみてくださいね。
万葉集&歌会始から古典の世界へ
「令和」は諸説ありますが、史上はじめて中国の書(漢籍)ではなく日本独自の書物(万葉集)からとられた元号です。良い機会ですから、万葉集や歌会始から日本の古典や文化について学んでみるのはいかがでしょうか。