満員電車でピンヒールは要注意! 他人を踏んだら大怪我をさせてしまうかも…
人混みでピンヒールは凶器に
暑くなりました。服が薄くなるとともに足元も軽装になっていきます。通勤中に電車内を見渡すと、オープントゥシューズやサンダルからキレイなペディキュアがのぞき、男性でもゴツめのスポサンで出歩いている人が大勢います。
最近は体重が分散して足が疲れにくい、ヒール部分が広い靴が増えています。ウエッジソールタイプのものは、足の裏全体が地面についているので安定性が高いですよね。
でもヒールが太いと重苦しく見えてしまうので、ピンヒールを愛用している人もいますよね。個人的な見解ですが、美脚の若い女性や、ピンヒールに慣れている中年の女性に多いように感じます。
ピンヒール自体を批判するつもりはありません。しかし夏場、素足を露出する人が増える時期は、ピンヒールを履いて電車に乗るときは最新の注意を払うべきだと私は考えます。
満員電車の混雑ではお互い様の精神が大事ですよね。時には足を踏んだり踏まれたりすることもあると思います。ピンヒールの場合、ちょっと踏んだだけのつもりが大惨事を引き起こすことがあります。相手が屈強な男性だとしてもです。
なぜピンヒールで足を踏むと大怪我になるのか、ピンヒールを履いて出歩くときに気を付けるべきことを解説します。
ピンヒールは不安定
電車はよく揺れる乗り物です。駅から発車するとき、駅に停車するとき、カーブにさしかかったとき、必ず揺れるポイントは決まっています。それ以外でも都心部は毎日のように緊急停止ボタンが押されるので、いつも気を抜けません。
通勤時間は様々な人が乗車しています。現役世代が多いとはいえ、必ずしも体力があってバランス感覚に優れている人ばかりとは言えません。むしろ若い会社員でもデスクワークばかりで筋肉が弱っている人も多いです。
そして圧倒的に座席数が少ないのでほとんどの人が立って乗ることになります。混雑している時間だと手すりや吊革の数が足りないので、どこにも捕まれず両足だけで踏ん張っている人が大勢います。
数年前から女性のハイヒール廃止論争がネットを中心に起きています。ヒールの高い靴は足に負担をかけるだけでなく、踏ん張りがききません。急ブレーキがかかって電車が大きく揺れたときは、歩きやすいスニーカーを履いていてもたたらを踏んでしまうものです。ハイヒールは床に底がつく面積が少ないため、不安定で転びやすい靴と言えます。
ピンヒールは1点に体重がかかる
満員電車に急ブレーキがかかると、慣性の法則に従って乗客全員が進行方向にギューッと押されます。思い切りぶつかられたこともあるでしょうし、転んだことがある人もいるでしょう。足を踏んだり踏まれたりなんて日常茶飯事です。
人は通常足踏まずをのぞいた足の裏全体に体重を分散して立っています。
しかしピンヒールを履くと、本来かかと全体に分散されてかかる体重がヒールの1点に集中します。
ピンヒールのヒールの底は、直径1~2cmの円です。体重が50kgの女性の場合、両足に均等に体重を乗せていれば片足にかかる体重は25kgです。普通に立っている場合でも、ピンヒール1本に12.5kg以上の体重がかかっている計算になります。
それではもしよろけてピンヒール1本に体重がかかったらどのくらいの重さと破壊力になるでしょうか?
直径1cmのピンヒールの底の面積は、0.5cm×0.5cm×3.14=約0.8㎠です。片足の25kgをピンヒール1本で支えると、たった0.8㎠の面に25kg、1㎠なら約31kgもの重さがかかります。
しかもこれは最小値です。よろけた場合、両方の足に体重がキレイに分散するとは限りません。さらにある程度の高さから勢いよく足を踏み抜くことになります。スピードが加わると、一瞬で何十倍、何百倍もの重さがピンヒールの1点にかかります。
勢いよく体重がかかったピンヒールは、もはや凶器です。大声で「痛いっ!」と叫ばれてもなにも大袈裟ではありません。ものすごい勢いで尖った刃物を振り下ろされたようなものです。
ガッチリした作りのブーツや革靴、スニーカーを履いていても、足の甲や指を骨折するでしょう。素足をピンヒールで踏まれたら、釘を打ち付けられたように皮膚が破けて大流血すること間違いなしです。骨どころか神経まで傷つけることだってあります。
もし踏まれた位置が甲ではなくつま先だったとしても、爪はパックリ割れて、全治何週間という大怪我になります。すぐに病院で手当てを受け、消毒をし、包帯で覆って爪が再生するまで安静にしなくてはいけません。お風呂にも満足に入れなくなります。
誰かの足を踏んだり怪我をさせたときにすべきこと
ときどき足を踏まれた人が悲鳴を上げたら、踏んだ側がにらみつけたり、大袈裟だと言うことがあります。しかし夏場は素足をさらしている人が多いので、ピンヒールに限らず思い切り体重がかかったら大怪我になりやすいのです。
もし踏んでしまったら素直に謝りましょう。踏んだ自覚がなくても、痛いと言われたら(自分が踏んでしまったのか確認したうえで)誠意を込めて謝罪するべきです。
ちょっと踏んだだけなのに大袈裟なという態度をとっていると、民事で訴えられたり、警察に被害届を出されたりします。被害者の性別は関係ありません。一瞬でものすごい体重をかけられたら工事用の安全靴を履いていない限り誰でも怪我をします。
すぐに謝罪し、相手の怪我の状態を確かめ、病院へつきそいましょう。病院までついていくのが難しいようなら、名刺を渡したり連絡先を交換します。そして会社に連絡して、どういう状態で相手を怪我させてしまったのかを正確に報告します。
交通事故と同じです。誠心誠意謝って、治療費や慰謝料を払うという姿勢を見せれば、相手の気持ちも収まって「被害届は出さない」「訴えるつもりはない(和解する)」となるでしょう。逆にものすごい痛みで苦しんでいる相手に「大袈裟すぎる」と言えば、被害届を出したうえで厳罰を望まれ、前科がつく可能性もあります。
わざとではなくても相手に怪我を負わせてしまったときは、謝罪して相手を気遣うことが大事です。最初の対応を間違えると、本来使えたはずの保険や会社の制度が使えなくなったり、弁護士を交えた話し合いで多額の慰謝料を請求されるかもしれません。
結論! ピンヒールを履くときは他人のことを常に考えて
ピンヒールで足を踏んだときに起こることをまとめました。今回は相手に怪我させた場合を想定しましたが、逆に自分が誰かに踏まれて苦しむ可能性だってあります。たとえ痩せている人でも、振り下ろしたピンヒールは凶器になります。ピンヒールで満員電車に乗るときは、そのことを忘れないでくださいね。