大人でも難しい。目薬の正しいさし方をマスターして効果アップ!
正しく目薬をさせていますか?
PCやスマホを見続ける生活に大量に飛散する花粉。わたしたちの生活は目に著しい負担をかけます。疲れ目やドライアイに悩む方にとって、目薬は必需品です。
目薬(点眼薬)は目に直接薬液を落とすタイプの薬です。有効成分がすみやかに浸透し、目の状態が素早く改善されます。また乾燥した目にダイレクトに潤いを与えることができます。
お気に入りの目薬を持ち歩いている方も多いと思いますが、みなさんは目薬を正しくさせていますか?
実は、目薬が苦手な方はもちろん、目薬に抵抗がない方でも案外正しく点眼できている人はとても少ないといわれています。眼科にしょっちゅうかからない限り、正しくさせるようになるまで指導してもらう機会はありません。
間違った点眼法は、目薬の効果が薄れるだけでなく目の状態を悪化させてしまうこともあります。改めて正しい目薬の差し方を学びましょう。
多すぎても無意味! 1回の点眼量は?
PCやスマホを見続けていると、目がシパシパします。瞬きが少なくなって目の表面が乾燥し、ブルーライトを浴びながら同じ場所を凝視し続けるので、目が疲れてしまうのです。
乾燥して疲れた目はちょっとした刺激で痛くなったり痒くなったりします。眼精疲労は肩こりや頭痛、吐き気ももたらします。辛い症状を早く改善したくて、大量に点眼していませんか?
目薬の量を増やしても意味はありません。それどころか効果が薄れたり、目の周囲が荒れたりします。
1度に目に入る水分量は決まっている
涙は眼球を保護し、まぶたをスムーズに動かすために分泌されます。目の上、目尻側にある涙腺から分泌される涙の量は、正常な状態では1日に2~3cc程度です。
分泌された涙は目の表面を流れ、目頭側にある涙点から涙小管を通って鼻や喉に落ち、再吸収されます。目に刺激を受けたときや感情が昂ったときなどは涙の量が増え、涙点へ流れ込むのが間に合わず目からあふれます。これが泣いている状態です。
つまり、1度に目が受け止められる水分量には上限があります。だいたい30μl(=0.03ml=0.03cc)上限を超えると一気に喉に流れこんだり、目から溢れたりします。目薬をさしたときに甘みを感じる方は、点眼量が多すぎる可能性があります。
目薬は1滴が30μl~70μlになるように、点眼口の大きさが調整されています。つまり1回につき1滴の点眼で十分なのです。2滴以上点眼すると、有効成分が効果を表す前に喉に流れてしまいます。
目元の荒れの原因に…
せっかくさした目薬が目から溢れてしまうと意味がありませんよね。ハウスダストや花粉を流す効果はありますが、炎症はおさまりません。
目薬には抗炎症剤や抗ヒスタミン剤などが含まれています。また長期間保存できるように、防腐剤が配合されているものもあります。
これらの薬剤が何度も目の周囲に付着すると、肌荒れの原因になることがあります。目の周囲の皮膚は他の部位よりも薄いので、なるべく目薬で濡らすべきではありませんし、濡れたらすぐに拭くべきです。拭くときに擦ると余計に刺激を与えてしまうので、清潔なハンカチで押さえて吸い取りましょう。
点眼口は清潔に保とう
目薬をさそうとするとつい目をつむってしまう方もいますよね。反射的にまぶたが動くのは、目を守るための自然な反応です。目をあけたままでいるのは難しいと思います。
だからといって点眼口をまぶたやまつ毛に押し付けるようにして、目薬をさしていませんか?
まつ毛やまぶたの菌が付着する
点眼口を目から離しすぎると狙いが外れて目の中にうまく薬液が落ちてくれません。狙いを外すぐらいなら、とまつ毛と触れる近さから目薬を入れる方がいますが、これは間違いです。
メイクをしていなくてもまつ毛やまぶたには雑菌がいます。まつ毛などが触れると点眼口に雑菌が付着し、保管している間に繁殖してしまいます。目や目と繋がっている鼻はとてもデリケートなので、目薬のせいで逆に炎症が悪化することもあります。
目薬を他人と共有しない
これは有名なことですが、目薬を他人と共有すると病気がうつることがあります。
ものもらい(めばちこ、麦粒腫)は、黄色ブドウ球菌が目の周囲の汗腺の中で繁殖することで発症します。黄色ブドウ球菌はヒトの肌に当たり前に存在する常在菌です。目薬を使いまわすと繁殖した黄色ブドウ球菌を運んでしまうので、ものもらいがうつります。
どんなに親しくても、家族でも恋人同士でも、絶対に目薬は共有しないようにしてくださいね。
下まぶたを指で押さえる
指で下まぶたをおさえて白目を大きく露出させると、まつ毛やまぶたに触れずに目薬をさすことができます。下まぶたをおさえると同時に、目線は上に向けましょう。黒目(瞳)はもっとも繊細なので、点眼薬が落ちてくると自然とまばたきしてしまいます。
涙や目薬を排出する涙点は、目頭側にあります。目尻側に目薬をさすことですぐに流れ落ちるのをある程度防げます。
点眼後が重要!
目薬をさした直後、口の中に甘い味や苦い味が広がることがあります。これは目薬の有効成分が目にとどまらず、鼻や喉に流れ落ちてしまっているということです。目薬の量やさし方も重要ですが、さした後の行動によって流れ落ちるのを防げます。
点眼後は目を閉じる
目薬をさしたあと、目をパチパチさせていませんか? 確かにまばたきをすることで目のフチに落ちた目薬は目の中に入りやすくなります。しかし同時に目薬を流してしまいます。
点眼後は、最低1分くらいは目を閉じたままじっとしていましょう。上を向く必要はありません。目を閉じることで涙点がふさがるので目薬が流れ出るのを防げます。
目頭を軽くおさえる
涙点は目頭の近くにあります。まぶたを閉じ、目頭を軽くおさえることで涙点がふさがれます。眉間や目頭をつまむと目の疲労が少し回復します。揉むと目薬が流れてしまうので、押さえるだけにしましょう。
1分程度経過すると目薬が眼球の表面にいきわたります。普通に過ごしても薬が一気に流れることはありません。先に浸透させてから目の周りにあふれた目薬を拭きましょう。
まとめ! 正しいさし方で目の健康を守る
正しい方法で目薬をさすと、1回につき1滴で十分目は潤います。まつ毛やまぶたに触れると点眼口から雑菌が入りこむので注意が必要です。下まぶたを押し下げて点眼し、すぐに目を閉じて目頭を押さえることで有効成分がすみずみまでいきわたります。喉に落ちる量が減るので独特の甘みに悩まされることもありません。有効成分が目にとどまることで点眼回数が減らせるので、副作用や目元の荒れを防ぐ効果も期待できます。