冷えは万病の元! 血行不良が自律神経の乱れや頭痛・吐き気を招く
寒い場所に行くと、頭痛や吐き気がする…
2019年1月6日は二十四節気の1つ、「小寒」です。またの名を「寒の入り」ともいって、節分までの約1ヶ月は暦上最も寒い時期とされます。
昨年は1月22日~23日にかけて、東京で23cmもの積雪を記録しました。今年も新年早々、新千歳空港(北海道)で飛行機の欠便が相次ぎ、いまもまだ足止めされている方が大勢います。
カレンダーの表記的にも、現実的にも、寒さが非常に厳しい1月。朝晩の通勤タイムがとても辛いですよね…。
ものすごく寒い朝や暖かいビルから出てきた帰り道、冷たい風に吹かれていると酷い頭痛や吐き気に見舞われた経験はありませんか? また、電車やバスを待っているときに、具合が悪くなったことはありませんか?
風邪を引きやすい季節ですから「気のせい」で済ませている方も多いと思いますが、身体の冷えが原因で、頭痛や吐き気、めまいといった症状が出ることは実際にあります。
急激に体調が悪くなると不安になりますよね。寒い日に辛い症状が出る理由や、対処法をまとめました。
体温キープのため! 寒いと血管は収縮する
ヒトは恒温動物です。高い体温調節機能を持っていて、夏でも冬でもおおむね一定の体温を保つことができます。逆にいうと、体温を調節できなくなると具合が悪くなり、最悪の場合は命に危険が及んだりもします。
暑いときは汗をかき、気化熱を利用して体温を下げます。それでは寒いとき、ヒトの身体はどのようにして体温をキープするのでしょうか。
筋肉を震わせて熱を起こす
筋肉が動くとき熱が生まれ、身体は温まります。寒気を感じたときに身体がブルルッと震えたり、歯の根がカチカチ噛み合わなくなるのは、自律神経が体温を維持するために、さまざまな筋肉を動かすよう指令を出しているのが原因です。
温かい血液をなるべく外気に晒さない
筋肉を動かして体温を上げると同時に、これ以上体温が奪われないように身体は防衛反応を起こします。その最たる例が、血管の収縮です。
血液は血管を通って全身をめぐります。主な仕事は全身の細胞に酸素や栄養を届け、老廃物を引き取ってくることですが、同時に体温調節機能の一部も担っています。
体温が高すぎると熱が外に逃げやすいよう、血管は大きく拡張します。気温が高いときや激しい運動をしたとき、熱がある人などの顔が真っ赤になるのは、血管が拡張していつもより血液が多く透けて見えるからです。
逆に外気温が低いときは、熱を逃がさないために血管はギュッと収縮します。血液が冷えると全身に冷えが伝わってしまうので、命を守るために欠かせない防御反応(体温調節機能)です。しかし、血管の収縮は別の体調不良を引き起こします。
「緊張型頭痛」は血管収縮によっておこる
頭痛にはいくつか種類があります。代表的なものは、心拍に合わせてズキンズキン痛む片頭痛と、頭をギューッと締め付けられるような緊張型頭痛です。
血管が収縮したときに起こりやすいのが「緊張型頭痛」です。原因は側頭筋(こめかみの筋肉)や首・肩の痛みやこりです。寒さ以外では、同じ姿勢の取りすぎやストレスも原因になります。
寒いと首や肩に力が入りますよね。ただでさえ筋肉がガチガチなところに血行不良が重なると、筋肉の細胞に酸素が行き届かなくなり、老廃物が溜まってしまいます。筋肉の痛みに「寒さ」という物理的なストレスが重なって、頭痛が起こりやすい状態になるというわけです。
マフラーやネックウォーマーが有効なのは、首周辺を温めてくれるからです。帽子やイヤーマフも側頭筋が冷えるのを防いでくれます。首周辺の防寒具は常に1つ用意しておくといいですね。
寒暖差や血行不良が自律神経のバランスを崩す原因に
体温調節を司っているのは自律神経です。身体が冷えると自律神経は体温を維持しようとフル稼働し、交感神経が活発な状態が続きます。
交感神経が優位になると、身体は興奮し、緊張します。筋肉を優先的に動かせる反面、内臓の働きは優先度が下がります。身体が冷えると消化機能が落ちてしまうのです。当然、消化不良を起こしたり、気持ち悪くなったりします。
文明の利器のデメリット! 寒暖差疲労
建物の気密性やエアコンの性能がアップした現代、公共機関やオフィス、自宅、店舗などの「屋内」は快適な温度に保たれています。夏と冬は、屋外と室内の気温差が大きくなる季節です。
室内外の気温差は、自律神経が対応できる気温差を大幅に超えています。20℃程度に保たれた室内と真冬の室外では10℃以上差があります。
エアコンの効いた室内と寒い屋外を行き来すると、自律神経は能力を超えて振り回されます。結果、「寒暖差疲労」を起こしてしまいます。冷房の効いた室内と暑すぎる屋外で疲労がたまる夏と同じです。
冷たい血液が内臓を冷やす
ほかにも冷えた血液が内臓に流れ込んで、内臓が不調を起こすこともあります。冷え性の人に多い症状です。
血管を収縮させて防御しても、血液が冷えるのを完全に抑えることはできません。特に冷え性の人は末端部が冷え切っているので、外気温が低いとダイレクトに血液から熱が奪われてしまいます。
冷たい血液が流れ込んで内臓が冷えると、消化や代謝など、生命を維持するのに必要な力が弱ります。日々の生活で体力が損なわれていくので、風邪を引きやすくなります。
身体の内側・中心部から温めるべし
体調不良の原因が「冷え」なら、身体を温めてやることが大事です。このとき外側から温める方法と、内側から温める方法があります。身体の内側に熱を入れ、外側を保護することで体温を維持しましょう。
ホットドリンクを飲む
まずは身体の芯を温めます。一番確実なのは、温かい飲み物を飲むことです。自販機で販売されているものでかまいません。ただしカフェインはより交感神経を活発にさせてしまうので、コーヒーは避けましょう。
ホットドリンクをゆっくりと飲むと、胃から物理的に温まります。身体全体を温めるには力不足でも、弱った内臓を回復させる力はあります。
日頃から白湯を飲むくせを付けておくと、内臓が冷えにくくなりますよ。
カイロは太い血管のある場所へ
ホットドリンクで内側から温めると同時に、外側からも熱を与えましょう。カイロは太い血管が通っている場所にあてると、血液が早く温まりやすいです。
ただし男性は、足の付け根にカイロを当てないでください。精嚢が体外にぶら下がっているのは、精子が熱に弱いからです。(子供のころに)カイロを足で挟む癖があった人が、男性不妊になった例もあるので気を付けてください。
なるべく湯船につかる
現代は入浴をシャワーだけで済ませる人が増えています。衛生的には問題なくても、シャワーだけで済ませると冷え性が改善されません。
熱すぎないお湯に15~20分程度つかることで、冷えた身体を芯まで穏やかに温められます。1日の終わりに冷えを解消することで、夜間や翌日まで冷えによる悪影響を残さずにすみます。
全身が冷え気味だったり、手足が冷え切っていたりすると、体温維持に体力が必要です。体温維持に手いっぱいで運動量が減ってしまうので、太りやすい体質になってしまいます。湯船につかって冷えにくい身体を作りましょう。
軽い運動で柔軟な筋肉を維持
筋肉が不足すると体温維持が難しくなり、冷えやすくなります。体温を高めるためにはある程度の筋肉が必要です。
とはいってもいきなり筋トレを始めるのは難しいですよね。せめて筋肉が凝り固まってしまわないように、ストレッチするように心がけましょう。
寒いと普段より同じ姿勢のまま動かなくなりがちなので、頭痛や肩こり由来の不調を避けるためにも、意識的に動く必要があります。運動だと考えず、時間を決めて伸びをするとか、仕事の区切りがつくたびに屈伸をするとか、そういったことでも十分です。
気温に限らず急激な変化に身体は弱い
長々と書きましたが、寒いときに頭痛や吐き気が起きるのは、ある意味防衛反応が正しく働いているとも考えられます。しかし自律神経に大きな負担をかけているのも事実です。
熱中症ほど激しい症状ではないため目立ちませんが、人は暑さだけでなく寒さにも弱いです。もっと言うと、「急激な気温の変化」「急激な気圧の変化」に弱いのです。
現代社会は便利になった分、自律神経が対応しきれない「急激な変化」に出くわす場面が多くなっています。大きな体調不良を起こさないためにも、身体を鍛え、自律神経に負担をかけない服装や行動をこころがけましょう。