怒りっぽい人は下に見られる。社会人に求められるアンガーマネジメントとは
常にイラついている人は迷惑
現代社会はストレスにまみれています。誰もが苛立ちや怒り、悲しみ、フラストレーションを抱えています。
だからこそ常にイライラしている人や、すぐに怒る人は嫌われ、遠巻きにされます。
どんなにイケメンでも立場の弱い店員さんに横柄な態度を取る人には引いてしまいますよね。電車が止まって苛立つ気持ちはわかりますが、かといって駅員さんに怒鳴りつける人を見ると「ああはなりたくない」と思いますよね。
誰だって腹が立つことはあります。怒りは人間が持つ当たり前の感情です。しかしその怒りを他人にぶつけるのはマナー違反です。
2018年、スポーツ業界を中心に、パワハラ問題が次々と内部告発されています。現在では「叱る」と「怒る」は別物として区別されています。いまだに区別をつけられず立場の弱い人に怒りをぶつける人は、立場を失う社会になったのです。
海外の人材とともに仕事をする機会が増えていますが、違う文化圏の人に、日本人の感覚で怒ると、大きな問題に発展します。
より一層アンガーマネジメントが重視されることは間違いありません。アンガーマネジメントとは具体的にどのようなものなのか、見ていきましょう。
怒る人は幼稚
あなたの周りには怒りっぽい人はいますか? あるいは、あなた自身が怒りっぽくて悩んでいませんか? はたまた怒っているのに自己主張ができなくて、不完全燃焼な感覚を抱えていませんか?
そもそも「怒り」とはどのような感情なのでしょうか。
怒りは「危険にさらされたとき」に生まれる感情
怒りとは人間の持つ基本的な感情であり、その人が抱える何かが危険にさらされた(傷つけられた)ときに生まれると考えられています。「何か」というのは必ずしも形を持っているわけではありません。例えば自尊心には形はありませんが、傷つけられると大抵の人が不愉快になり怒ります。
心身が危険にさらされたら、すぐに逃げるか反撃しなくてはいけません。危険を察知すると脳内でさまざまな反応が起こり、いわば臨戦態勢のような状態になります。これは生きるための本能です。
神経が研ぎ澄まされるため、ちょっとしたことに反応してしまい、イライラします。身体はすぐに飛び出せるよう、血圧や脈拍が高くなり、興奮状態に陥ります。
怒りが自分の内側で処理できなくなると、感情が爆発します。俗にいうキレるという状態です。堪忍袋の緒が切れ、腹に据えかねている状態です。爆発した人はスッキリするかもしれませんが、周囲にいる人は災難です。
ストレスが多いと怒りゲージが振り切れやすい
少々腹が立ったくらいで人はキレません。内心イライラしていても、それを出さないようにするのが大人です。しかしストレスが溜まっていると、ちょっとしたきっかけで怒りゲージが満タンになって爆発してしまいます。
電車遅延で駅員さんを怒鳴りつけている人は、ストレスが限界まで達しています。遅延がダメ押しとなってやり場のない怒りが爆発しているのです。八つ当たりされている側はたまったものではありませんよね。
お客様が弱い立場にあるスタッフを追い詰めることも、立派なハラスメントです。ここ数年で、あまりに横暴なふるまいは通報されたり訴えられたりするようになりました。
子供は我慢を覚えて大人になる
子供は自分の思い通りにならないと、すぐに癇癪を起します。まだ物の道理がわかっていないから「無理なものは無理」という現実を飲み込めません。衝動性が強いので大人より我慢ができません。
しかしいつまでも癇癪を起してばかりでは生きていけません。同世代の子供たちと交わるうちに、次第に「我慢」を学んでいきます。大人になるにつれ、内心怒っていてもキレずに我慢できるようになります。
基本的に大人とは「我慢」を覚え、自分の感情がコントロールできます。逆にいうと大人になってもすぐに怒りを外部に向かって発散するキレやすい人は、幼稚な人であると認識されます。他人に怒りをぶつける人は、なんでも自分の思い通りにしようと泣き喚く幼児と同じだと見做されるのです。
アンガーマネジメントとは
「怒り」は人間に備わっている自然な感情です。心身に危険が迫ったとき「怒り」がわくのは当然のことであり、むしろ健康な証拠といえます。
しかし社会の中でいきる私たちは、腹が立ったときにいちいち怒りを爆発させていては、人間関係を保つことができません。多少「ムカッ」「イラッ」ときても、少なくともその場では流すようにしなくてはいけません。
アンガーマネジメントとは、1970年代にアメリカで提唱された、怒りを予防・制御する心理療法プログラム(心理トレーニング)。アンガーマネジメントを取り入れることで、ただ我慢するのではなく、怒りと上手に付き合っていけるようになります。
我慢からコントロールへ
怒りを覚えることは自然なことですが、怒りを他人にぶつけるのは未熟で幼稚な人のすることです。かといってやみくもに我慢ばかりしていても根本的な問題の解決になりません。我慢に我慢を重ねた結果大噴火するくらいなら、小出しに怒った方がマシということもあります。
アンガーマネジメントで目指すのは、我慢強くなることではなく、怒りと上手に付き合っていくことです。
自分がどういう場面で腹を立てるのか、その怒りは正当なものか、どうすれば怒りが解消できるか、どうすれば腹が立たなくなるのかを一つ一つ解明していきます。
自分が「怒る」ポイントを把握する
よく「地雷」といいますが、人によって「イラッ」「ムカッ」「プチッ」とくるポイントは違います。まずは自分が腹を立てるきっかけとなる物事を調べましょう。
腹が立つ原因がわかれば、避けることができます。避けられない場合でも心構えがあれば苛立ちの度合いが違うでしょう。買ってきたアイスを勝手に食べられて怒る→食べられたくないものには名前を書く(食べられなければ怒る必要はない、食べられたときに正当な抗議ができる)というイメージです。
また怒りの原因がわかれば、自分の怒り方が適切かどうか見直すこともできます。アイスを食べられた報復に相手をボコボコに殴るのは、(地雷だとしても)人間関係を築く上では不適切と言わざるを得ません。
頭を冷やす方法を身に着ける
怒りの原因や怒り方を分析しても、腹が立つときは立ちます。繰り返しますが怒りは正常な反応です。怒ったときに周囲の人を巻き込む形で爆発しなければいいのです。
怒ると血圧や心拍数が上がり、大量のエネルギーを消費します。しょっちゅうカッカしていると、人間関係だけでなく身体にも悪影響があります。怒ったときはなるべく早く気分を鎮める必要があります。
「カチン」ときた瞬間、怒りのエネルギーはMAXになります。そのまま爆発すると「キレる人」です。頭が真っ白(真赤)になり衝動的に行動したくなりますが、そこはぐっとこらえましょう。実は最も怒っている状態は6秒しか継続しないからです。
爆発しそうになったらゆっくりと深呼吸を3回しましょう。6秒たてば最初の怒りのピークが過ぎます。すると冷静に判断できるようになります。頭が冷えてからどう対応するか考えましょう。
逆に怒りに任せて感情を爆発させる癖がつくと、よけい怒りっぽくなります。キレるとアドレナリンが出るからです。たまに、怒ることが趣味のような人を見かけませんか? 怒って脳を興奮させることで快感を得ている可能性が高いです。
怒っていい瞬間もある!
アンガーマネジメントを取り入れ始めても、すぐには怒りをコントロールできるようにはならないでしょう。ストレスが多い環境に置かれれば、誰だって起こりやすくなります。我慢しすぎると心身に不調がでます。
基本的に他人に怒るのはNGですが、本当に命の危険があるときはもちろん怒ってもかまいません。
またあなたが怒りを我慢することで、周囲の人が増長していくのなら、それは良い環境とはいえません。「なんでわたしばっかり…」と恨みがつのるようになったら本末転倒です。
理不尽な環境から抜け出すのが難しい場合は、ときには「私だって怒っています」と示す必要もあります。ほかにも友達や親しい人のために怒らなくてはいけないこともありますよね。
怒りを我慢しすぎて調子が悪くなる場合、アンガーマネジメントは失敗しています。いったん無茶な我慢はやめて、体調を整えることに専念してくださいね。
結論! 怒りのコントロールは自分のためになる
人間関係を築くためには、相手に怒りをぶつけてはいけません。怒りは自然な感情ですから、我慢するだけではストレスがたまります。アンガーマネジメントで怒りを上手にコントロールしましょう。他人にむけて感情を爆発させるのではなく、自分の中で折り合いをつけて発散するのが大人です。怒らない人の周囲には怒らない人が集まります。アンガーマネジメントを身に着ければ、自然と人間関係の摩擦も減っていきます。