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【2018年夏】麻疹の次は風疹! 30~50代の男性と妊娠初期の女性は要注意!

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2018年8月15日、国立感染症研究所から、首都圏を中心に風疹(三日麻疹)が流行していると発表されました。妊婦が風疹に感染すると、生まれてくる赤ちゃんが先天性風疹症候群という重い障害を抱える可能性があります。30~50代はワクチン接種が不十分なので、注意してください。

はじめに

引用元: https://www.photo-ac.com/

2018年4月から5月にかけて、沖縄で麻疹が少し流行しました。この流行はすでに収まっています。しかし入れ替わるように、7月半ばから風疹(三日麻疹)の患者数が増え始め、8月第2週には急増しすでに大流行の兆しが見えています。

患者のほとんどは東京と千葉の住人です。他県の患者数はいまのところ10人未満ですが、お盆の帰省時期と流行が重なったため今後地方に拡大する可能性も十分に考えられます。

麻疹の記事でも解説しましたが、風疹も年齢によってワクチン接種経験の有無が大きく違います。またかつて摂取対象が女子のみだった時期があったため、発症中の患者の多くが30~50代に偏っています。

妊娠初期の妊婦が風疹に感染すると胎児にも影響が及び、先天性風疹症候群という重い障害が出る可能性があります。

30~50代の男性及び、20~30代女性の感染を抑えることが非常に重要であり、急務です。

風疹とはどういう病気なのか、発症した場合や感染が疑われる場合の対処法をまとめました。

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風疹は無症状で気づかない人もいる

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風疹の症状は麻疹に似ていて、俗に「三日麻疹」と呼ばれることがあります。おたふく風邪、麻疹とならんで予防接種で防げる病気です。

主な症状は発疹・発熱・リンパの腫れです。患者の多くは子供ですが、大人が罹った場合は子供よりも重症化する傾向にあります。麻疹より感染力が低く、感染しても無症状の患者も多いです。

潜伏期間が長い

風疹の潜伏期間は2~3週間と長めです(麻疹は1~2週間)。喉から出た体液から飛沫感染・接触感染します。咳したときに飛び散った唾や、くしゃみで出た鼻水から感染するということです。

風疹の特徴である発疹が出る1週間前~発疹が出てから4日の期間に伝染するので、症状がまだ出ていない人やただの風邪だと思っている人、無症状の人が感染を拡大させてしまいます。

微熱→発疹→高熱→リンパ節の腫れ

2~3週間の潜伏期間を経て、微熱や頭痛、鼻水や咳など風邪のような症状が出ます。一般的な風邪と違うのは、口の周囲に痛みのない赤い斑点が現れることです。ただし全員に現れるわけではありません。

これに加えて、大人の患者の90%はリンパが腫れます。この時点で病院で診断がおりればいいのですが、あまり症状が強くない場合スルーしてしまう人が大半でしょう。

初期症状が現れて1~5日後、耳の後ろや顔から全身へ赤い斑点(発疹)が広がっていきます。この発疹は3~5日で消えます。ただしこちらも25%くらいの患者は無症状です。

発疹が広がるのと同時に38~39℃の高熱が出ます。子供なら3日で落ち着きますが、大人は5日程度と長引きます。高熱と発疹がおおむね3日で収まるので「三日麻疹」と言われることがあるのです。

発疹と発熱が収まった後も、耳の後ろや首、後頭部のリンパ節の腫れは数週間にわたって継続します。

このようにすべての患者に症状が出るわけではなく、場合によってはほぼ無症状だったり、非常に軽く済んだりするので、診断が難しいという特徴があります。

おまけに子供のころに風疹に罹ったことがあり、免疫がついているはずの人でも、時間の経過や他の病気の治療で抗体が減ってしまうこともあります。

30~50代男性は免疫を持っていない可能性が非常に高い

引用元: https://www.niid.go.jp/niid/ja/rubella-m-111/rubella-top/2145-rubella-related/8266-rubella180821.html

ワクチン接種はウイルスが原因の感染症の予防に効果があります。感染症の流行を抑えるためには、集団の全員がワクチン接種を受けるのが理想です。

世界的には子供のころに「3種混合ワクチン(MMR)」という、おたふく風邪・麻疹・風疹が3つセットになったワクチンを打つのが主流です。満1歳と小学1年生(6~7歳)の2回摂取で、多くの人が一生分の免疫を獲得できます。

しかし日本ではかつて、MMRの副作用が問題視され、ワクチン接種率が大きく下がった時期があります。麻疹と同じく現在の30代~50代が該当します。ワクチンの接種回数や摂取年齢の変更と、ワクチンを打っていない世代についてはこちらの記事も読んでくださいね。

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かつて風疹ワクチンは女子中学生のみが対象だった

春先の麻疹流行で調べた方も多いと思いますが、2018年現在28歳~39歳(1977年~1990年生まれ)の方は、全世代で最もワクチン接種率・自然感染率が低いです。

さらに1977年8月~1995年3月までは、中学生の女子生徒のみが定期接種の対象でした。

引用元: https://www.niid.go.jp/niid/ja/rubella-m-111/rubella-top/2145-rubella-related/8266-rubella180821.html

上の図は国立感染症研究所が発表した、年齢ごとのワクチン接種状態です。

28歳4か月未満の男女は2回個別接種しています。28歳5か月~30歳10か月の男女は個別接種が1回です。30歳10か月~39歳4か月の男女は、ワクチン接種ができなかった救済措置として病院で個別に1回接種できている可能性があります。

39歳4か月~56歳4か月の女性は中学生のころに学校で集団接種を受けています。

問題なのは39歳4か月以上のすべての男性です。対象が女子のみとされていたため、公的には1回も接種できていないのです。(ワクチンがなかった56歳4か月以上の女性も同様です)

2018年夏の国内流行において、30~50代の男性に患者が集中しているのは、ワクチン接種する機会がなかったからなのです。

自分や同僚、地域の人の家族を守るためにワクチン接種を!

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妊娠初期の妊婦が風疹ウイルスに感染すると、生まれてくる赤ちゃんに「先天性風疹症候群」という重篤な障碍が発生する危険性があります。妊婦自身が無症状でも赤ちゃんには症状がでる場合があります。

先天性風疹症候群の赤ちゃんは、心臓の病気や白内障、難聴などの障碍をもって生まれます。特に心臓の病気や致命的です。視力や聴力だって、現代の医学の力をもってしても回復できるとは限りません。

前回、風疹が国内で大流行したのは2013年のこと。この流行で45人の赤ちゃんが先天性風疹症候群で障碍を負いました。

また先天性風疹症候群が発生するのは、妊娠10週以下がほとんどで、妊娠21週以降はリスクが低くなるとされています。10週といえばまだつわりもなく、妊娠を自覚していない女性が多い時期です。

さらに先天性風疹症候群にならなくても、生まれる前に風疹にかかった赤ちゃんは生まれてから数か月間は感染力を持ち続けることもわかっています。

女性がワクチンを接種するだけでは先天性風疹症候群は防げません。免疫を持たない世代の男性がワクチンを接種しない限り、流行は何度でも繰り返すのです。また1回だけ接種世代も免疫が不十分な可能性が高いです。

ワクチン未接種者は海外で各種規制を受けることも

先進国の中では日本だけがワクチン接種率が低い状態が続いています。ワクチンの副作用が問題になった時代があったので、ワクチンに対して懐疑的な意見があるのはわかります。

しかしワクチンというのは全員が接種を受けるからこそ意味を持つのです。

世界中で、風疹とは日本人が感染源であり、日本人国外へ(無自覚に)ウイルスを持ち運んでいると認識されています。

アメリカではワクチンの接種が不十分な人は永住権を得られませんし、旅行でも入国前にワクチンを接種するよう指導があります。これ以上感染が拡大するようなら、他の国でも日本人の入国制限や排斥が進む可能性があります。

ワクチンにまったく副作用がないわけではありません。しかしワクチンを受けないことによる被害の方がはるかに大きいのです。しかも現在の「MRワクチン」はかつて問題になったワクチンよりずっと安全性の高いものです。

子供を守るためのワクチン

大人が自主的にワクチン接種をすると1万円程度かかります。すべての人がわざわざ病院へ行ってこの金額を負担するのは難しいため、現在企業へ向けて集団接種を行うよう要請する運動も起こっています。

最低限、妊娠を希望している夫婦は接種してください。女性がワクチン接種していても、免疫が弱くなっていないとは限りません。我が子や同僚の子に重い障碍が出る可能性があることを考えてください。

まとめ

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自然派や反ワクチンなどの思想をかかげて子育てをしている人もいますが、日本という国や地球全体の「社会」の中で生きていくなら、ワクチンの接種は絶対に必要です。

風疹の場合、流行が続くと被害を受けるのは感染した本人ではなく、感染者の周囲にいる妊婦から生まれた子供です。

自分だけはいいだろうという考えは捨てて、ワクチン接種をしてください。また疑わしい症状が出た場合はすみやかに受診し、医師の指導に従って仕事を休み外出を控えてくださいね。

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VENGA編集部
VENGA編集部です。コンプレックスを持つ女性に寄り添う記事をお届けします。

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