なぜ円が低くなったのに「円高」というの? 円高と円安の違いを再確認しよう!
はじめに
ニュースでは毎日、円相場について報じられます。例えばこの記事を執筆している2018年4月16日(月)9時の円相場は、107円52銭。先週11銭ほど円高(ドル安)になりました。2月からずっと円高傾向が続いていますね。
もうすぐゴールデンウィーク。海外旅行に出かける方は、円相場の動きが気になっているかもしれません。円高になるほどお得に海外旅行ができます。
それにしても円相場(円高・円安)というのはとても分かりにくいですね。1ドル=120円から1ドル=100円になると、ぱっと見、円が少なくなっているのに、「円高」といいます。なんでやねん、意味わからんわー、て感じですよね(笑)
海外旅行に行く人も行かない人も、円相場や円高・円安について勉強しておきましょう。わたしもずっと「意味わからんわー」と思っていたのですが、円ではなくてドルを見るようにすると簡単に理解できました。
世界の通貨や経済はドルが基準
世界中には様々な通貨があります。日本は日本円(円)。アメリカはドル($)。イギリスはポンド(£)。ユーロ圏はユーロ(€)。韓国はウォン(₩)。中国は人民元(元)。ほかにもたくさんありますが、よく耳にするのはこのあたりでしょうか。
円相場というのは、円に対して外貨(外国のお金)が持っている価値のことです。為替レートといいます。特に重要なのが円とドルのレートで、毎日1ドル=〇〇円と報道されますね。(ドルの次に重要なのは、ユーロです)
世界の通貨の中で基準になっているのはアメリカの通貨であるUSドルです。特に断りなく「ドル」と呼ばれたら、USドルだと思ってください。ドルはとても信頼があるので、世界経済の基準とされています。
同じ商品をいくらで買えるかで考えよう
為替レートは日々刻刻と変わります。今日は1ドル=100円でも、明日は1ドル=90円(円高)かもしれないし、1ドル=110円(円安)かもしれません。
昔は1ドル=360円のように固定されていたのですが、現在はその時々の状況に応じて変わる変動相場制が取り入れられています。
ここに1ドルの美味しいドーナツがあるとします。アメリカだけでなく日本にもお店があり、価格設定は世界共通です。日本ではこのドーナツを100円で買えます。1ドル=1ドーナツ=100円、つまり1ドル=100円です。
円高・ドル安=円の価値が高い
次の日、相場が変わりました。ドーナツは昨日と同じく美味しいです。アメリカでは1ドルで買えます。日本では90円で買えます。1ドル=1ドーナツ=90円、つまり1ドル=90円になりました。この状態を円高といいます。
ドーナツの価値に対して、日本円の価値が高くなったから円高です。円の価値が昨日より高いから、昨日100円出さないと買えなかったドーナツが、90円で買えるようになったというわけです。
アメリカではドーナツの値段が一緒です。USドルの価値は昨日と同じです。日本円の価値は高くなりました。USドルの価値に対して、日本円の価値が高くなったということです。
円安・ドル高=円の価値が低い
さらに次の日。ドーナツは相変わらず同じ美味しさです。アメリカでは1ドルで買えます。日本では110円出さないと買えなくなりました。1ドル=1ドーナツ=100円、つまり1ドル=110円です。
同じ価値のドーナツが、これまでは100円や90円で買えていたのに、今日は110円も出さなくてはいけません。同じ価値のドーナツに対して、日本円の価値が安くなってしまいました。円安です。
相変わらずアメリカではドーナツが1ドルで買えます。しかし日本では円の価値が下がった分、多めに出さないとドーナツが買えません。USドルに対して日本円の価値が安くなったということです。
日本円ではなく、USドルに対して「高い」「低い」
わたしたちは日本円を使って暮らしているので、ついつい円ばかり見てしまします。1ドル=110円→1ドル90円だと、20円分安くなったように見えるので、円高と言われると違和感があります。
しかし世界の通貨の基準はドルなので、ドル視点で考えるようにしましょう。
1ドル=110円:1円=0.009ドル
1ドル=90円 :1円=0.011ドル
1ドル=110円のときは、0.009ドル(=0.9セント)あれば1円と交換できていたのに、1ドル=90円になると、0.011ドル(=1.1セント)出さないと1円と交換できません。ドルから見て、円の価値が高くなっていますね。
円高・ドル安、円安・ドル高という風にまとめて言うことがあります。円高というのは、ドル基準だと円の価値が高い=円基準だとドルの価値が安いということです。
円高だと海外旅行に行きやすくなるのは、円の価値が高いから、少ない円とたくさんの外貨を交換できるからです。逆にたくさんの外貨がないと日本円と交換できないので、海外からのお客さんは減りますし、日本の商品を買おう(輸出しよう)という動きも少なくなります。
景気のことを考えると、円高すぎず、円安すぎない状態が一番ということです。
まとめ
円相場(円高・円安)の動きを理解するには、日本円ではなくドルを見ることが大事です。治安面に不安が残りますが、いまの状況が続けば2018年のゴールデンウィークは安く海外旅行に行けそうですね。