厳冬、猛暑の次は暖冬
気象庁が3ヶ月予報を発表しました。それによると2018-19冬シーズンは平年より暖かくなる、つまり暖冬になる見込みだそうです。
2018年1~2月は観測史上1、2を争う強烈な厳冬でした。東京でも大雪が降り、最低気温が氷点下まで下がる日もありました。
雪があまり降らない地方出身の方にとってはとても辛い日々が続いた昨シーズンとは違って、平年より暖かい今冬は随分過ごしやすくなりそうですね。
しかしいくら暖かいといっても冬は冬。油断は禁物です。2018-19年冬シーズンに、体調管理する上で気を付けるべきことをまとめました。
体調管理は手洗い・うがい・保湿の3点セットで
毎年寒くなるにつれ、インフルエンザや風邪、ノロが流行します。2018-19年冬シーズンも例外ではありません。元気に冬を乗り切るために、対策は徹底しましょう。
手の洗い方を見直して
私たちが日常的に行っている手洗いは、感染症や食中毒の予防に高い効果を発揮します。冬場に大流行する病気の原因ウィルスや菌は、ヒトの体内で爆発的に増殖するものが多いです。
手についたウィルスや菌を洗い落すことで体内への侵入がかなり防げます。正しい手洗いを心掛けることで、感染や発症の確率を下げられるのです。
しかし大人でも正しい手洗いができる人はそう多くありません。水で流すだけ、石鹸を使っても手のひらをこするだけでは不十分です。それでは正しい手の洗い方を確認しましょう。
- 1.流水で手をよく洗う
- 2.石鹸をしっかり泡立てる
- 3.手のひら、手の甲をこすって洗う
- 4.お祈りするように指の間を洗う
- 5.親指を反対の手のひらで包みねじるように洗う
- 6.手のひらの上に指先を立て、爪の間を洗う
- 7.手首も洗う
- 8.十分に洗い流し、乾いた清潔なタオルで拭く
冷たい水で洗うのが辛ければ、ぬるま湯を使っても構いません。チャチャッと手を濡らしてお茶を濁すのではなく、流水でしっかり洗い流しきることが重要です。
石鹸を泡立てるのが面倒な人は、泡タイプのハンドソープを使いましょう。また手拭きタオルは常に乾いたものを用意しましょう。湿ったタオルは雑菌の温床です。
カサつきが気にならない方は、タオルではなくハンドペーパーでも構いません。100円ショップでも販売されているので、惜しみなく使い捨てましょう。
またハンカチは必ず持ち歩くべきです。公衆トイレについているハンドドライヤーは、実は非常に不衛生です。誰がどのように使っているかもわかりませんし、構造上雑菌が繁殖しやすい特徴もあります。
手洗いは重要ですが、やりすぎると必要な皮脂まで落ちてしまいます。手荒れの原因になるので、手洗い後はクリームを塗ってお肌を保護してくださいね。
うがい
手洗いと並んでうがいも重要です。口内で水をガラガラさせることで、口や喉上部の粘膜表面についた菌を体外に排出できます。
インフルエンザは喉表面に付着したウィルスが、粘膜の細胞に侵入し増殖することで発症します。増殖前にウィルスを排出できれば罹りません。インフルエンザ以外にもうがいで防げる風邪はたくさんあります。
喉を守るためには、口をゆすぐだけのうがいでは意味がありません。かといって喉まで届くようなうがいはちょっと難しいですよね。
うがいをしている最中に、合唱のときに出すような高い声で「アー」と言うと喉が開いて奥まで水が届きます。慣れると声を出さなくてもいいうがいができるようになります。
マスク
よく知られていることですが、マスクをつけても風邪やインフルエンザを完全に予防することはできません。市販のマスクでは口と鼻を隙間なく覆うことはできませんし、布地の目よりウィルスや菌の方が大きいので侵入を完全には防げません。
マスクはどちらかというと「風邪を引いている人が他人にうつさないため」につけるものです。
しかしマスクに意味がないのかというとそんなことはありません。
手洗いを徹底していても、手にウィルスや菌がつくことは防げません。ドアノブや手すり、吊革越しに感染が広がるのはよくあることです。
マスクをしていれば汚れた手が口や鼻に触れる機会がぐっと減ります。それだけで病気予防にかなりの効果があります。
保湿が重要
冬季は空気が非常に乾燥します。乾燥した空気は喉や肌を傷つけます。喉が炎症を起こすと抵抗力が下がります。
マスクには喉の乾燥を防ぐ効果があります。
わたしたちは呼吸するたびに少しずつ水分を失っていきます。寒い日に吐いた息が白く見えるのは、息の中に水分(水蒸気)が含まれているからです。
マスクをしていれば、口から息とともに出た水分がマスクの内部にとどまります。常に潤った空気を吸い込めるので、喉への負担が和らぎます。
「喉を潤わせることが風邪予防に最も効果がある」と考えている医師もいます。5分や10分ごとに水分を一口ずつ摂ることで、常に喉を潤わせるのだそうです。
確かに喉でウィルスや菌が増殖する前に飲み込んでしまえば、発症する可能性は低くなります。できるだけこまめな水分摂取を心掛けましょう。
流行中の病気の現状(2018年11月末現在)
今秋はなかなか気温が下がりませんでした。クリスマスのイルミネーションが本格化する11月半ば頃になって、ようやく冬らしくなりはじめました。
2018年は「風疹」が大流行しているため、平年に比べてインフルエンザやノロについての報道が少ないように感じます。11月末現在、主な病気の流行状況はどのようになっているのでしょうか。
インフルエンザ
「【2018年10月】インフルエンザの予防接種開始! 早めの予約で混雑回避しよう」でもお伝えしましたが、今年度のワクチン製造量は十分です。
しかしワクチン需要のピークは、毎年11月下旬~12月上旬ごろなので、今は一時的に不足気味になっています。12月第2週には供給が追い付く見込みなので、まだワクチンを打っていない方は2~3週間ほど用心してください。
もしインフルエンザに罹ったら、症状が軽く熱がすぐに下がったとしても法で定められた期間は外出しないようにしましょう。家族が発症した場合も同様です。自分に症状が出なくても、ウィルスを運んでしまうからです。
ノロ・ロタ・感染性胃腸炎
2018年11月29日現在、ノロとロタを含む感染性胃腸炎について、警告や報道は特に出ていません。感染症週報(2018年第45週)によると、患者数は平年並みかやや少ない程度です。
とはいえ油断は禁物です。感染力が非常に強いので、小さいお子様と接する機会が多い方は、手洗いや消毒を徹底してくださいね。
風疹
「【2018年夏】麻疹の次は風疹! 30~50代の男性と妊娠初期の女性は要注意!」でご紹介しましたが、2018年で最も問題になっている感染症は風疹です。
働き盛りとワクチン未接種年代が重なっているため、東京を中心に流行がおさまりません。都心部は未婚率が高く、平均初婚年齢も突出して高くなっています。男性も女性も当事者意識を持ちにくいのは仕方ないと思います。
しかし妊娠20週までの妊婦が風疹にかかると、先天性風疹症候群という重い障碍を抱えた赤ちゃんが生まれる可能性があります。被害者を増やさないためには、独身の方や子供を産む予定がない方も含めて、すべての人がワクチンを打たなくてはいけません。
母子手帳を見れば接種歴がわかる可能性があります。調べてみてくださいね。
スギ・ヒノキ花粉の予防
3月になると春の花粉症が本格化します。気が早いと思われるかもしれませんが、花粉症の症状を軽減する予防治療は、花粉シーズン前の冬に行わなくてはいけません。
春の花粉飛散量は、前年の夏の暑さによって変わります。2019年春の花粉量は、2018年夏の暑さで決まるということです。
2018年夏は酷い猛暑でした。夏の気温が高いほど花粉量は増えます。つまり2019年春シーズンは花粉がものすごく多い可能性が高いです。
花粉症が酷い方は早めに医師に相談しておきましょう。花粉が飛び始める前に対処が肝心です。また花粉症シーズンが到来する前に、空気清浄機など花粉対策グッズを買っておくことをオススメします。
体力をキープすべし!
咳やくしゃみを連発している人のそばにいても、うつる人とうつらない人がいます。もちろん運もありますが、基礎体力や抵抗力が高い人は、うつらなかったり、発症しても軽症で済みます。
これからの季節、忙しさにかまけて無茶をしがちです。胃腸に負担をかける食生活をなるべく避け、睡眠をよくとり、水分をしっかり補給しましょう。
どんなに気を付けていても、生きていれば誰でも病気に罹ることはあります。自覚症状があるときは無理をするのではなく、できる範囲で休みましょう。咳エチケットを守るだけでも効果があります。