暑さのせいで食欲不振に
暑いですね。連日各地で最高気温の記録が更新されています。この記事を書いている2018年7月18日の東京の予想最高気温は35℃。このままだと観測史上初の記録が出てしまうかもしれません。湿度が高いぶん、体感気温も上がるので、今の日本は赤道直下の乾燥した国より暑いと推測されています。
こうも暑いと食欲が落ちますよね。筆者は自他ともに認める「胃弱のくせに食欲大魔神」なのですが、海の日の3連休前に寝ても覚めても気分が悪いという状態に陥って、もずくくらいしか喉を通らなくなりました。
幸い連休中一歩も家から出ず、ひたすらクーラーをつけっぱなしにして寝続けたら回復したのですが、それでも昼間はダメです。太陽が出ている間は、そうめんと野菜スティックしか食べたくありません。アイスにも食指が動かない日は絶望を感じます。
食欲不振は夏バテの典型的な症状ですが、放置するとどんどん体力が落ちてしまいます。かといって弱っている胃腸に負担をかけるわけにはいきません。暑すぎて食欲が落ちたときにすべきことをみていきましょう。
なぜ暑いと食欲不振になるのか
夏バテになった結果食欲がなくなるのか、食欲がないから夏バテになるのか。人によって感じ方は違うと思いますが、夏バテ=食欲不振と言ってもいいぐらい食欲のなさは典型的な症状です。
そもそもなぜ暑いと食欲が落ちてしまうのでしょうか。
暑さで体力が失われる
気温が高くなると、たった1℃違うだけで体力の消耗量はけた違いに跳ね上がります。恒温動物であるヒトの身体は常に体温を37℃程度に保とうとしています。気温が高くなるほど体温を下げるのに大量のエネルギーが必要になります。
同じ気温でも湿度が高いほど汗が乾きにくくなり、体温が下がりにくくなります。日本は四方を海に囲まれているため高温多湿になり、実際の気温よりも体感温度がずっと高くなるという特徴があります。
日本の湿度だと28℃を超えると体力の消耗が異常に激しくなります。近年の夏は30℃越えが当たり前で、夜になっても気温は下がりません。夜間に回復するのも難しいので、体力がどんどんなくなって次第に食事を受け付けなくなります。
食事を抜くとより体力が落ちるので、悪循環に陥ります。
消化器の動きがにぶる
風邪を引いたときと同じように体温が上がると食欲は落ちます。
体力が少なくなった状態で、体温を下げるためにエネルギーを使われると、食べ物を消化するだけのエネルギーが残りません。暑さを和らげるために血管を拡張させ血圧が下がると、胃腸を動かすために必要な血液が不足することもあります。
また食欲をつかさどるのは満腹中枢と接触中枢で脳の視床下部という場所にあります。暑いと視床下部にもダメージがありますし、自律神経も乱れるので胃腸がより動かなくなります。
食欲不振というのは胃腸からの「今は消化できない!」というSOS信号でもあるのです。
しかしSOSが出ているからといって食べずにいると余計夏バテは悪化してしまいます。
そうめんばかり食べてはいけない
食欲が完全に失せてしまったときは、少しでも体力を回復させるために、なんでもいいから喉を通るものを食べるべきです。上でも書きましたが、筆者も一時はもずくしか食べられなくなりました。
夏バテの人はよくそうめんを食べると思います。そうめんは麺が細くてチュルチュルッと食べやすいですよね。ソバも食べやすいですが、ソバよりそうめんの方がカロリーが高く消化しやすいです。ソバはもともと小麦が育たない痩せた土地で生まれた麺類です。
夏バテが一番酷いときはそうめんだけでも構いませんが、多少体力が回復してきたり、そこまで酷くないときはそうめんばかり食べるのはよくありません。
そうめんは小麦から作られる麺です。カロリーはそれなりにありますが、健康を維持するために必要な栄養素は含まれていません。だからそうめんばかり食べていると、それはそれで夏バテが悪化してしまうのです。
そうめんを食べるときは、関西風に、きゅうりやハムを細く切ったものを付け合わせるのがオススメです。冷やし中華の具材を一緒に食べるイメージです。ショウガやネギ、ミョウガといった薬味は食欲増進効果があります。
そうめんが問題なく食べられるようになったら、プラスしてサラダや豚肉の冷しゃぶのようなあっさりとしていて栄養のあるものもちょっとずつ食べていきましょう。旬の夏野菜はビタミンC、ビタミンE、カロチンを多く含んでいて、夏バテ回復に効果があります。美白美肌効果もあるので一石二鳥です。
食欲が戻ってきたら、あとは無理せずに維持することを考えましょう。昔の人は精をつけるためにウナギのかば焼きのような重いものを食べていましたが、現代とは暑さのレベルが違います。胃に負担をかけず、かといって甘やかさず、夏を乗り切るために必要なエネルギーと栄養素を摂取することが重要です。
どうしても食欲が戻らない場合は、病院へ行くことも検討してください。治療によって一気に体力を回復させたほうが長引かず、夏バテと夏痩せ、肌荒れが軽く済みます。筆者は幸い3連休の間に食欲が回復しましたが、ダメそうなら病院へ行くつもりでした。まだ夏は始まったばかりですから、回復&現状維持に努めましょう。
夏バテは熱中症の原因に!
暑さに強い人もいれば弱い人もいます。鍛えている人は筋肉が多いため暑がりですが、運動不足の人よりも汗をかく能力が高いため、暑さ自体には強い人が多いです。
筆者は夏が大嫌いです。暑さも紫外線も敵です。毎年のようにバテます。筆者のように夏バテの常連さんは毎年のことなので「たかが夏バテ」と軽く見てしまうかもしれません。対処に慣れるのはいいことですが、甘く見るのはよくありません。
特に2018年のような酷暑が続く夏は、熱中症患者が多発します。消防庁の発表によると、7月9日~15日の一週間で、実に9956人もの人が熱中症で搬送されたそうです。そのうち12人の方が亡くなりました。
熱中症も夏バテも暑さが原因で起こる体調不良です。夏バテで体力が失われていると、熱中症にかかりやすくなります。熱中症は一度かかると完全回復に時間がかかるので、夏バテも長引き、結果的に夏中寝込むことにもなりかねません。
熱中症で倒れないためにも夏バテによる食欲不振からはなるべく早く回復しておかねばなりません。
まとめ:食べる努力をしよう
夏バテと食欲不振は、ニワトリと卵のように相互に関係があります。夏バテから回復したければ食欲を出さなくてはいけないし、食欲を出すためには夏バテから抜け出す必要があります。最初はそうめんでもいいから「食事をする癖」をつけ、体力がつき次第食べられるものを増やしていきましょう。ある程度回復したら胃腸に負担を掛けずにビタミン・ミネラルを摂ってくださいね。