サンダルの季節、爪の状態が気になる
夏になるとサンダルやオープントゥの靴を履く機会が増えます。普段は靴や靴下で隠れている足の爪もこのときばかりは衆目に晒されます。そうすると手指の爪と同じように、ペディキュアを塗ったり、ジェルネイルを施したりしたくなりますよね。
ネイルカラーまでは塗らなくても、不健康な爪を晒すのは抵抗があります。せっかくキレイなサンダルを履いていても、爪が割れていたり変色していたりすると不潔に見えます。見た目が悪いだけならともかく、爪と足指の状態によってはイヤな臭いまで発生することがあります。
近年、ネイルサロンの店舗数が増え、安価で素敵なカラーやアート、ジェルネイルを施術してもらえるようになりました。通販などでネイルグッズが手に入るので、趣味でセルフネイルを楽しんでいる方も多いでしょう。
もともと足指は靴で変形したり蒸れたりして、手指よりもトラブルが発生しやすい部位です。ネイルオフしたとき、爪が緑色に変色する「グリーンネイル」という症状に見舞われる人が増えています。
グリーンネイルの原因とはなんなのでしょうか。予防法やグリーンネイルになったときの対処法はあるのでしょうか。また、グリーンネイル以外に気を付けるべき爪のトラブルとはどのようなものでしょうか。順番に見ていきたいと思います。
ペディキュアを剥がしたら、爪が緑色に!
近年、足の爪にもジェルネイルを施す人が増えています。
ジェルネイルとは、「ジェル」と呼ばれる特殊な合成樹脂を塗り、UVライトやLEDライトを当てて硬化させる技法です。光を当てるとすぐに固まるため、一般的なマニキュアと違って乾燥を待つ必要がありません。またはがれにくいため家事や仕事に影響が少ないです。
発色やツヤがいいのでオシャレ面からも人気ですし、ジェルを固めることで爪の補強にもなるので、爪が薄い人や弱い人にも需要があります。長持ちするので、自分で頻繁にペディキュアを塗りなおすより、ネイルサロンでジェルネイルを施してもらった方が楽というメリットもあります。
良いことづくめのように感じるジェルネイルですが、剥がしたときに爪が緑色に変色してしまっていることがあります。俗に「グリーンネイル」と呼ばれる症状は、なぜ起こるのでしょうか。
原因は「緑膿菌」の繁殖!
こう書くとまるでジェルネイルが悪いかのようですが、別にジェルネイルそのものが原因ではありません。
グリーンネイルは「緑膿菌」という細菌が爪の内部や周辺で繁殖することで起こります。よく爪にカビが生えたのだと勘違いされますが、カビではなく菌が原因です。
緑膿菌は「常在菌」といって、誰もが皮膚の上に持っている菌の一種です。皮膚や身体が健康なときは悪さをしませんが、傷が出来たり身体が弱って殺菌能力が落ちたりすると途端に大繁殖します。このように、体力が落ちているときにだけ症状が出る病気を「日和見感染」といいます。
爪の水分はきちんと乾かそう
皮膚が健康で弱酸性に保たれていれば、緑膿菌は繁殖できません。また緑膿菌が皮膚に付着することは防げませんが、常に清潔に保ち、皮膚や爪の表面をきちんと乾燥させていれば特に問題が起きることはありません。
ジェルネイルを施したとき固めたジェルの下でグリーンネイル化が進行するのは、多くの場合ジェルと爪の隙間などに水分が溜まって湿っていて、菌が繁殖しやすい状態になっているからです。逆に爪を清潔に保ち、水を使った後にしっかり乾かしていればグリーンネイルになるのをある程度防げます。
足指の場合、雨で濡れてもきちんと拭かなかったり、長時間蒸れたまま放置したりすることによって緑膿菌が繁殖しやすくなります。湿気が多いと緑膿菌以外の雑菌も繁殖するので注意が必要です。また爪や周囲の皮膚が荒れている場合は、ジェルネイルを施す前に健康を取り戻すべきでしょう。
蒸れ足は水虫の危険も!
濡れた足・蒸れた足を放置すると「水虫」を発症する危険性も高まります。
水虫の原因はカビの一種である「白癬菌」が繁殖することで起こります。緑膿菌と違って常在菌ではなく、水虫の人とタオルなどを共有することでうつります。ただ白癬菌も皮膚を清潔に保ちきちんと乾燥させていれば繁殖することはありません。
水虫を予防することは、緑膿菌の繁殖を予防することと同じです。足が蒸れたらこまめに汗を拭きましょう。除菌シートで汗・汚れ・雑菌をまとめて拭き取ると効果的です。また蒸れにくい靴を履くように心がけ、靴も数足をローテーションして乾燥させましょう。
水虫になって皮膚が荒れると緑膿菌も繁殖しやすくなります。水虫はイヤな臭いの原因にもなるので、気になる方はアルコール消毒してみてください。
切り方を間違えると巻き爪に! 炎症も
女性の靴はつま先部分が細く、指や爪を圧迫してしまうデザインのものが多くあります。程度の差はあれ外反母趾の方も非常に多いです。指が圧迫されると爪も変形してしまいます。
爪の変形を防ぐにはつま先が自由に動かせる靴を選ぶのが一番ですが、それ以外では爪の切り方を工夫することである程度症状を和らげることができます。
爪の伸ばしすぎも不潔ですが、深爪にすれば清潔が保てるのかというとそうでもありません。足の爪を深く切りすぎると、爪の先端部の両端が指の肉に食い込みやすくなります。横方向に圧迫されやすい環境だとなおさらです。巻き爪状態のまま爪が伸びれば、指を傷つけてしまうでしょう。
伸ばしすぎても隣りの指に干渉します。指を傷つけないよう、深爪は避け、爪の先の両端は丸くやすりをかけてラウンドトゥにするのがオススメです。
サンダルを履く前に素足ケアをしよう! 異常があれば病院へ
グリーンネイルや水虫、巻き爪を予防するためには素足のケアが重要です。蒸れにくい靴を履き、汗はこまめに拭き、専用シートやアルコールを使って除菌・消毒すると雑菌が繁殖しづらくなります。また睡眠不足や栄養の偏りを減らすことで、雑菌に負けない元気な皮膚づくりができます。
もし足の指や爪に異常が見られたら、すぐに病院へ行きましょう。皮膚科なら水虫でもグリーンネイルでも対応できます(あるいは対処が得意なクリニックを紹介してもらえるかもしれません)。
素人目には爪が変色していても、染料が原因なのか、緑膿菌が繁殖してしまっているのか区別がつきません。痛みやかゆみといった諸症状がないならなおさらです。病気の診断と治療ができるのは医師だけです。サロンのネイリストに相談するのではなく、皮膚科のお医者さんに診てもらいましょう。
素人判断で市販薬を塗るよりも病院へ行った方がずっと早くキレイに治せますよ。