睡眠不足が原因で死に至るケースはある
昔話をしましょう。二十歳そこそこのころ、夏風邪で病院にかかったときふと寝苦しいとこぼしたら、医師に「眠れなくて死んだ人はいないよ」と笑い飛ばされたことがあります。が、これは間違いです。睡眠不足が続くと心身に不調をきたし、ときには命を落とすこともあります。
2018年現在、睡眠の重要さと睡眠不足の危険性は広く知られています。
趣味にのめりこみすぎて睡眠をおろそかにし亡くなった例もありますし、過労死された方の亡くなる直前の睡眠時間の少なさは皆さんご存知でしょう。まさしく不眠とは死に至る病なのです。
この記事では、睡眠不足がいかに危険で人体に悪影響を与えるのかを解説します。
大人も子供も睡眠時間は減少傾向に
皆さんは毎日どのくらい眠っていますか?
一般的に、大人が健康的な生活を送るためには1日の3分の1、つまり8時間程度の睡眠時間が必要だとされています。体質や年齢によって違いはありますが、睡眠時間は長すぎても短すぎてもいけません。
ポラール・エレクトロ・ジャパンの調査によると、日本人の平均睡眠時間は、男性が6時間30分、女性が6時間40分で世界一短いことがわかりました(世界平均は男性が7時間7分、女性が7時間26分)。
世界平均の7時間どころか、日本人平均の6時間半も結構難しいですよね。筆者もかつて毎日終電まで残業しなくてはいけなかったころは、吊革に掴まって寝るのがうまくなって困りました…もうあんな無理はしたくないし、できません。
子供も小学生は10~11時間、中高生は8~9時間が理想とされていますが、実際には8時間を切る子が少なくありません。確かに22時を過ぎても街中で子供をよく見かけます。親が遅くまで働いているんですから、子供の睡眠時間が減るのも当然ですよね。
最新の研究では、人間は寝だめができないとわかっています。休日にたくさん寝るとスッキリするのは疲労が多少改善されているだけで、平日の睡眠時間の少なさはあまりカバーできないのだそうです。
また、6時間睡眠を14日続けると、2回徹夜するのと同じくらいパフォーマンスが落ちることもわかっています。
睡眠不足を続けると注意力が低下するだけでなく、様々な病気のリスクが跳ねあがり、さらに痩せにくい(太りやすい)体質になってしまいます。
日本の夏は寝苦しい
日本の夏は高温多湿です。特に2018年のような猛暑の年は夜間も気温が下がらず、熱帯夜が続きます。昔とちがって現代の家は密閉性が高く、たとえ窓をあけても隣近所の室外機から排出される熱風が入り込んで、却って室温が上がることもあります。
室内が高温多湿で不快指数が高いと、睡眠時間が減るだけでなく睡眠の質も悪くなります。
睡眠をとると身体と脳の両方が休まります。睡眠時間が短くなり、質が落ちると、心身共に疲労が蓄積していきます。夏バテの最大の改善法は十分な睡眠をとることですが、逆に言うと睡眠不足が重なることで夏バテが重症化し、体力が落ちて熱中症にもかかりやすくなります。
おまけに夏はイベントが盛りだくさんです。世界中の国が参加するタイプのスポーツは、日本での放映が深夜になることが多いです。2018年はサッカーW杯がありましたね。サッカー観戦であくびを毎日あくびをかみ殺していた人はいませんか?
筆者は自転車レースが好きで、7月いっぱいはツールドフランスを観戦予定ですが、全21日の日程中3日目にしてすでにリアルタイム視聴を諦めて録画に切り替えています。
睡眠不足はデブ体質の元!
病気や事故のリスクを高める睡眠不足ですが、女性として見過ごせないのは「太りやすくなる」ということです。
睡眠中に分泌されるのは「成長ホルモン」です。子供にとっては背を伸ばすために重要なホルモンですが、大人にとっては代謝を適切に上げるために重要です。睡眠時間が減ると成長ホルモンの分泌量が減り、代謝も悪くなり、結果的に老廃物がたまって太りやすい身体になってしまいます。
ほかにも、食欲を抑える「レプチン」と食欲を刺激する「グレリン」というホルモンも睡眠量・質と関係があります。
レプチンは睡眠時間が減ると分泌量が減ります。すると食欲の抑えが効かなくなり、満腹中枢の働きが鈍くなり、必要以上にたくさん食べるようになってしまいます。
逆にグレリンは睡眠の質が悪くなるとたくさん分泌されるようになります。グレリンが食欲を増やす働きがあるので、やはりたくさん食べるようになってしまいます。
デブ体質を避けたいなら、十分な時間と質のいい睡眠を確保しなくてはいけません。
結論! 睡眠は運動や食事と同じくらい大切
睡眠不足は死をもたらすというと大げさに感じるかもしれませんが、過労死された方のニュースを聞くと他人事ではないと思いますよね。寝苦しいし忙しいとは思いますが、なるべく睡眠をとるようにしてください。眠れなくても横になるだけで体力は多少回復します。痩せやすい体質になるためにも睡眠を重視してくださいね。
本当はもっと寝たいのに、忙しすぎて神経が昂り、眠れなくなってしまうこともありますよね。眠りやすい寝具選びや、サプリの力を借りることもときには重要です。また心身に不調があらわれるほど眠れない場合は、病院を受診することをおすすめします。