モコモコの泡で肌表面をわりと撫でる
わたしたちのお肌は常に新しい細胞に生まれ変わっています。表皮の内部で生まれた肌細胞は約28日かけて表面へ押し出され、最後は角質になって余分なメラニン色素や老廃物とともに剥がれ落ちます。この一連の現象をターンオーバーといいます。
お肌のターンオーバーのサイクルは、早すぎても遅すぎてもいけません。
早いのはいいのでは? と思いますよね。正常なサイクルよりも早く肌表面の細胞をはがすと、肌の内側へダメージが響きやすくなってしまいます。かといってターンオーバーが遅くなると、いつまでも古い角質層が表面にはりついて、肌荒れやくすみの原因になります。
毎日の洗顔には汗や汚れだけでなく、表面の古い角質層を落とす役割もあります。
お肌の細胞はとても繊細です。強い力で思いきりゴシゴシ擦ると、気分はスッキリするかもしれませんが、肌細胞は傷つきます。細胞が弱ると炎症を起こしやすくなり、保湿力も下がり、肌年齢が老けてしまいます。
ダメージを与えずに、いらなくなった古い角質や汚れだけを落とすためには、洗顔石鹸(洗顔フォーム)の泡がとても重要です。手のひらいっぱいにモコモコに泡立て、泡でやさしく撫でるように洗うべきだというのはよく知られています。
質のいいきめ細やかな泡を作るのはとても難しい作業です。
洗顔用の泡立てネットがあればたっぷりの泡は作れます。しかしやはり、熟練者が手で作る泡の質には及びません。
ワンランク上のモコモコ泡を作るために、洗顔石鹸の泡立て方のコツをご紹介します。
練習すればモコモコ泡が作れるとはいうけれど…
わたしが洗顔用の泡の作り方をはじめて教わったのは、10年以上前、大学入学を控えた18歳の冬でした。校則が厳しかったのでメイクデビューは大学から。メイクをしないから、高校時代まではニキビ用の洗顔フォームで適当に洗って終わりでした。
BAをしていた近所のおばさんが、「女子にとって大事なのは、メイクの技術じゃなくて、洗顔の技術!」と言って、泡作りの見本を見せてくれたのです。(ところでメイクより洗顔の方が重要という意味が本当に身に染みるのは、アラサーになってからですよね…)
石鹸と水道水を手で混ぜているだけなのに、あっという間にホイップクリームのようなモコモコ泡ができあがって驚きました。
おばさんによると、コツを知ったうえで練習すれば誰でも手だけでモコモコ泡が作れるようになるのだそうです。
魔法のように膨らむ泡が面白かったので、18歳のわたしはしばらく練習を続けたのですが、結局習得できませんでした。そのころからチューブ入りの洗顔フォームではなく保湿力の高い固形石鹸を使うようになったので、泡立て用のネットを買いました。
泡立てネットを使っても問題ない
固形の石鹸を買うと泡立てネットが付属していることがあります。そうでなくても薬局や100円ショップ、コンビニなど、スキンケア用品を扱っているお店なら、たいてい泡立てネットも一緒に販売されています。
泡立てネットはとても便利なアイテムです。ネットさえ使えば、固形石鹸も洗顔フォームもパウダータイプも泡立てられます。ネットで作った泡でも洗顔するには十分のクオリティです。
ただ、さらにワンランク上の細かくてふわふわの泡を作りたいなら、やはり手が一番というだけです。逆に手で泡立てられない人は、無理にで手だけで頑張るよりネットを活用するほうが断然いいです。
気を付けるべきなのは、泡立てネットを清潔に保つことです。使用後のネットはきちんと水洗いし、乾かしましょう。洗顔料を落とさずに放置したり、湿った場所に置いておくと雑菌が繁殖してしまいます。
最近のネットはとても安いので、短期間で使い捨てると衛生的です。
泡の質とは細かさ
石鹸と洗顔料の洗浄力を比較した記事にも書きましたが、洗顔料には界面活性剤が含まれています。洗顔料が触れるだけで汚れはほぼ落ちるので、きちんと泡立っていれば、ゴシゴシ擦る必要はそもそもありません。
泡立ちが悪いからゴシゴシ擦って肌を傷つけてしまうのです。逆に泡のきめが細かいほど、小さな毛穴にまで界面活性剤が届くので、そっと撫でるだけでしっかり汚れが落ちます。
それでは実際に質の高いモコモコ泡の作り方を見ていきましょう。
水分を一気に加えてはダメ!
泡を作るとき、まるで手や身体を洗うようにたくさんの水をいきなり加えていませんか? 水分が多すぎると大きな泡しかできません。
またせっかく細かい泡ができかけていても、水を足しすぎると泡が壊れてしまいます。
パンケーキのタネを作るとき、最初からミックス粉に牛乳を全量入れてしまうと、混ざりきらずにダマだらけになってしまうのと同じです。様子を見ながら少しずつ少しずつ水を足していくのがなめらかな泡を作るために重要なポイントです。
手を洗って泡作りの環境を整える
モコモコ泡を作るには下準備も大切です。泡立てネットを使うときも同じですが、まずは手を石鹸で洗いましょう。手に汚れや皮脂がついたままだと、界面活性剤の汚れ分解力が手に向かってしまいます。
モコモコ泡の元を作る
次に洗顔石鹸を手に取って、大まかに泡立てます。手洗いと同じように手と石鹸を動かし、手のひらにまんべんなく泡を広げます。
手のひら全体に泡がいきわたるまで続けます。泡立てネットで石鹸を3~4回擦ったときをイメージするといいでしょう。泡立てる前の泡の元を作るのが目的です。
左手のひらに泡をため、右手の指の腹で空気を含ませる
泡の元ができたら小指の側面でこそぎとるようにして、片方の手のひらに泡を集めます。片手がボウル、片手が泡だて器というイメージです。左手(利き手と逆の手)の手のひらを少しくぼませると、泡が零れ落ちず混ぜやすくなります。
右手(利き手)の人差し指・中指(+薬指)の腹を使って、集めた泡を泡立てていきます。
このとき水分を一気に加えると小さい泡が作れません。様子を見ながら少しずつ足しましょう。空気を混ぜ込むように撫で、クリーミィな状態を目指します。
クリーミィな泡を集め、両手で軽くつぶす
クリーミィで滑らかな感触になったら泡を指で手のひらに集めます。そして両手のひらをそっと優しく合わせて泡をつぶします。
手のひらを合わせるときは絶対に力を入れてはいけません。冬に、指先に息を吹きかけるときのように、ほんの少し手と手の間に隙間を作るのがコツです。
つぶした泡をまた左手のひらに集め、水を少しだけ加えて、右手の指で再び泡立てます。これを何度か繰り返すときめ細かい泡の塊がモコモコと育っていきます。
ネットである程度泡を作ってから仕上げだけ手で行う
最初はモコモコ泡を増やすのが難しいと思います。なれるまではある程度の量をネットで作って、途中から指の腹で泡立てていくといいでしょう。空気を混ぜる感覚や、足す水の量がつかめたらしめたものです。
水を少しずつ加えてモコ泡を膨らませよう
いかがでしたか? お肌を撫でるだけで角質層や汚れが落ちるモコモコ泡は、水の量に気を付けて空気を混ぜこめば作れます。
最初は全然泡立たなかったり、ものすごく時間がかかったりするかもしれません。コツさえつかめれば1分ほどで手のひらいっぱいのクリーミィなモコモコ泡が作れるようになります。
最初は泡立てネットの力を借りてもかまわないので、ぜひチャレンジしてみてください!