一人牛丼や一人ラーメンはもはや当たり前
あなたは「お一人様」という呼び方にどのような印象を抱いていますか?
おそらく都心部に住む現代の20代~30代の女性なら、お一人様に対してネガティブなイメージを持つ人の方が既に少数派になっていると思います。他人のプライベートや行動様式に口出しするのは野暮なことだという意識が以前より強まっています。
女性が一人で牛丼やラーメンを食べていても、以前ほど好奇の目に晒されることはなくなりました。男女平等が徹底され、男性も女性も他人の食事にかまっていられない程度には忙しいという事情もありそうですね。
お一人様気質の女性にとって(もちろん男性にとっても)、一人で摂る食事はとても気楽です。好きなものを好きなタイミングで好きなだけ食べられます。
楽な環境にいると人はついだらけてしまうものです。一人暮らしで3食とも一人で食べるのが当たり前になっていると、今更他人と食事するのが面倒に感じられることもあります。
一人で食事を摂ることを「個食」といい、その中でも寂しいと感じる場合を「孤食」といいます。個食や孤食は食生活の乱れや食事マナーの悪化を招きます。悪影響は児童や独居老人だけでなく、若い独身者にも及びます。
自分の意思でお一人様を貫いている人は孤独ではないかもしれません。しかし自覚がないうちに食事マナーが悪化してしまうと、久しぶりに誰かと食事をしたときにドン引きされる可能性があります。
一人ご飯(個食・孤食)がお一人様に与える影響をまとめました。
他人の目がないとズボラになる
人間は社会的な動物です。一人では生きられず、高度に社会化された群れの中で、他人と相互に関わり合いながら生きています。お一人様気質の人だって例外ではありません。
ある特定の一日だけに注目すれば、朝から晩まで誰とも会話せずに過ごす日もあるでしょう。しかし衣食住やインフラのすべてを一人で調達できる人はいませんよね。現代日本で暮らす人はなんらかの形で社会に組み込まれています。
疑似的に「ぼっち」になれる現代社会
スマホやインターネットが広く普及したのはせいぜいここ10年ほどのことです。それ以前にもケータイ(ガラケー)はありましたし、PCからネットを利用する人はいましたが、ここまで大衆化されたのは「iPhone」のヒットがあってのことでしょう。
いまの若い世代がお一人様や独身者を肯定できるのは、ネットで常にゆるく他人とつながっていられるからではないでしょうか。お一人様ライフを謳歌していても、完全に人間関係が切れているわけではありません。
ネットや携帯電話のなかった昭和以前に一人で食事をするのは本当に心底寂しいことだったと思います。現在は逆にいつでも繋がれるからこそ「食事くらいは一人でとりたい」と考えるのでしょう。相手のことを考えるのは存外面倒臭いものです。
「恥」は他人がいて初めて生まれる
人には様々な感情があります。生まれたばかりの赤ちゃんには「快/不快」の2種類しかありませんが、成長にともなって感情は複雑に分化していきます。
「恥ずかしい」という感覚は、一人では獲得できません。怒りや悲しみは一人でも抱けますが、恥ずかしさは相手の目線があって初めて生まれる感情です。
人前ではきっちりしているけれど自宅ではだらけきっている干物女は、現代ではまったく珍しくありません。どんなにだらしなくても他人に見られなければ恥ずかしくない、というわけです。食事マナーも同様で、一人で食べるときは多少横着しても汚い食べ方をしても、誰にも眉をしかめられません。
問題は、悪いマナーも長く続ければ習慣化して、「当たり前」になってしまうことです。
噛まない早食いは体調不良や口臭の元に
食べること自体が好きな人以外は、一人で食事をするとどうしても早食いになってしまうと思います。またメニューも簡単に作れるものや食べやすいもの、手軽にお腹が膨れるものにどうしても偏ってしまいます。
子供の個食・孤食が問題視されるのは、偏食が助長されたり、ジャンクフードばかり食べるようになるからです。大人も同じで、誰かと一緒に食べるからこそメニューにも気を遣いますが、一人で食べるならつい楽な方へ流れるのは仕方がないことです。
あまり噛まずに早食いばかりしていると消化器に負担がかかります。特に激務で遅い時間にしか夕食を取れない人は、消化不良を翌朝まで引きずりやすいです。朝・昼を抜いて夜だけガッツリ食べる生活は身体に悪い上、太りやすくなります。
胃腸が悪くなると口臭もキツくなります。丁寧に歯磨きしていても、胃腸からクサい臭いが上がってくるのではあまり意味がありません。
いざというときドン引きされないように
一人で食べることが当たり前になりすぎると、自分でも気づかないうちに「食事」にまつわることすべてをおろそかにしてしまうものです。適当なものを適当に食べ続けていると、身に着けていたはずの食事マナーも悪くなります。
食事に限らずマナーは日々気を付けることでキープされます。気付かぬうちに悪癖がついていると、久しぶりに友人や気になる異性から食事のお誘いを受けたときに、ドン引きされてしまうかもしれません。
いまいちど自分の食べ方が汚くなっていないか確認してみてください。食事マナーが悪くなっている人は治す努力をしましょう。定期的に友人知人と食事をとる機会を設けることも大切です。