ハロウィンは楽しい? 迷惑?
ハロウィンが日本に定着したのはかなり最近のことです。
最初に日本にハロウィンを紹介したのはディズニーリゾート(当時は東京ディズニーランド)です。20世紀から00年代にかけて、ハロウィンを実際に楽しんでいるのは、ディズニーファンやオタクなど一部の人だけでした。
「ハロウィン商戦」が成立するほど広まったのは2010年代に入ってからのこと。ソーシャルゲームの期間限定イベントで取り上げられたのがきっかけだと言われています。渋谷や六本木にはIT企業がたくさんあり、若者が飲んで騒げる場所も多いので、自然とハロウィンも大きく盛り上がります。
自信が参加するかどうかは別として、日本では「コスプレをして大騒ぎする日」として定着しました。流行りはじめた当初から賛否両論ではありましたが、2018年現在は、残念ながら否定派が多いようです。
ハロウィン商戦で販売されるスイーツやファッションは好きでも、ハロウィンの夜にコスプレ(仮装)して遊ぶ若者が嫌いだという人は大勢います。周囲の迷惑を考えない騒ぎ方や、翌朝のゴミだらけの街を見ればさもありなんという感じですね。
2018年、ついに渋谷区から事実上の自主規制を求めるアナウンスが行われました。
いくら楽しくても、他人の迷惑になる行為は許されません。本格的に法で規制される前に、参加者は自身の行動を振り返り、マナーを向上させていきましょう。
マナーと治安の悪化が問題視される
本来のハロウィンの主役は子供です。子どもたちがちょっぴり不気味な仮装をして、ハロウィンに参加している家を訪ね、お菓子を貰います。
しかし日本では「コスプレ(仮装)」「お菓子」「いたずら」といった要素がひとり歩きし、都心部の若者がコスプレパーティーをするイベントになってしまいました。ご近所づきあいをしなくなった現代、子供がよその家を訪ねるのが難しいという理由ももちろんあります。
コスプレ欲が満たせる
「コスプレ」は日本の大きなサブカルチャーです。アダルト文化やオタク文化と親和性が高く、そこそこのクオリティのコスプレ衣装なら、パーティーグッズを扱う店舗で気軽に買えます。
理由がないとはじけられないのが日本人の特徴です。堂々と耳付きカチューシャをつけられるのはディズニーリゾートに行くときだけ、浴衣でおめかしするのはお祭りの日だけ。普段から変わった格好をしている人は少数派です。
逆に理由さえあればどこまでもはじけてしまうのもまた日本人の特徴です。ハロウィンは「軽いコスプレで非日常気分を味わいたい」「お祭りをいいわけに騒ぎたい」という願望にぴったり当てはまったのです。
渋谷スクランブル交差点は「お祭り騒ぎ」のメッカ
ハロウィンで良くも悪くも話題になるのは、渋谷駅前のスクランブル交差点ですよね。毎年10月末が近づくにつれ、さまざまなコスプレ姿の若者たちが集まってきます。ハロウィン当日など深夜から朝方まで大勢が騒ぎ続けます。
そもそも渋谷駅前は、お祭り騒ぎをしたい人が集まりやすい場所です。車さえ通らなければ非常に広く、駅からのアクセスが最高だからです。
ハロウィン以外では、サッカーW杯やオリンピックなども「お祭り騒ぎ」が起きやすいイベントです。見知らぬ人と一緒に盛り上がりたいときは、渋谷に行けば間違いないでしょう。
お祭り騒ぎの迷惑をこうむるのは地元民や駅利用者
ハロウィンにせよW杯にせよ、お祭り騒ぎに参加している人は楽しいでしょう。しかし駅は公共施設です。通勤通学のために毎日利用している人のほうが圧倒的に多いことを忘れてはいけません。
夕方以降に人が増えるため、本来の駅利用者に多大な迷惑がかかります。渋谷はターミナル駅なので、普段から非常に混雑します。しかもホームの構造上、混雑が遅延に直結します。路線同士の乗り換えにも時間がかかるので、混雑のせいで乗り遅れる人も発生します。
しかもハロウィンの本番は月末です……。
混雑で苛立つ人が出るのも無理ないですね。
また忘れられがちですが、渋谷駅周辺に住んでいる人もいます。住宅街で22時以降に騒ぐのは明らかにマナー違反です。
お酒が騒ぎを悪化させる
集団になるとつい羽目を外してしまう日本人。非日常度の高いハロウィンでは、ほかのイベントのときよりも酷く散らかします。後片付けを地元民や近所の子供たちに任せるのは情けないですよね。
さらに夕方以降に騒ぎが始まることもあって、集まる人がほぼ全員成人だという特徴もあります。自然とお酒が入り、酔いつぶれて寝てしまったり、道端で粗相する人が後を絶えません。
急性アルコール中毒だけでなく、酔っ払いを相手にしたスリや痴漢も起きています。大人だからこそ、ほどほどでセーブしてほしいものです。
渋谷区は瓶酒の販売を中止、終電帰宅を促す
年々酷くなる騒ぎと被害を見かねて、渋谷区長が2018年10月23日に異例の記者会見を開きました。
警察官・機動隊員・DJポリスが出動
スクランブル交差点は歩行者天国ではありません。交通事故や渋滞を防ぐために、大勢の警察官や機動隊員が動員されています。
またトークが切れることで有名になった「DJポリス」もハロウィンの集団に呼びかけを行っています。
しかし人が増えすぎて抑えるのが困難になっています。W杯と同じく、人混みにまぎれた痴漢行為も酷くなっていて、このままでは街中で集まることを禁止される条例が出されるのは時間の問題です。
瓶入り酒の販売自粛
渋谷駅周辺のコンビニやドン・キホーテ渋谷店など、終日営業の店舗に対して、瓶入り酒の販売自粛が要請されました。
瓶は凶器になります。酔っ払い同士で喧嘩が起きる可能性もありますし、そうでなくてもうっかり割った瓶のかけらでケガをする人が出るかもしれません。
ちょうどいい機会です。渋谷に繰り出す方には、お酒を覚えた若者のお手本になるような「大人の飲み方」を実践してもらいたいです。前後不覚になるまで飲むのはそろそろ卒業しましょう。
終電で帰宅すること
終電で帰らず、夜通し騒ぐ人もいます。うるさくて迷惑です。さらに翌朝の通勤ラッシュにまで影響が出ます。
夜通し酒盛りする人がいると、治安も悪くなります。酔って犯罪行為に及ぶ人もいれば、被害者になる人もいます。
朝まで騒ぎたいのなら公共の場である渋谷駅前に集合するのではなく、ハロウィンパーティー用に会場を借りるか、ハロウィンイベントを開催しているバーやクラブなど専門店に行くべきです。
自宅でこぢんまりと楽しむのがスマート
ハロウィンパーティをするのが悪いのではありません。羽目を外しすぎて多方面に迷惑をかけるのがいけないのです。ハロウィンは自宅でも十分楽しめます。自宅の中ならどんなコスプレをするのも自由です。
ただし自宅でパーティーを開くのなら、近隣の迷惑にならないように、時間を考えて行動してくださいね。マンションやアパートなら上下左右の部屋に音が響きやすいので注意してください。大人数を自室に呼ぶのもいいことではありません。
結論! ハロウィンを続けたいなら節度を守ろう
「そもそもハロウィンは日本でいうお盆なのだから厳粛に~」なんて言うつもりはありません。コスプレをして羽目を外したい気持ちもよくわかります。ハロウィンパーティーは楽しいですよね。これからも楽しみたいなら、ハロウィンで迷惑をこうむっている人の気持ちを考えて、節度を守りましょう。