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帰省中に慌てたくない! 両親から熟年離婚の相談を受けた場合の対処法とは

寝耳に水? 熟年離婚が急増中

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若者の結婚離れと同じくらい話題になっているのが、熟年離婚の増加です。

現在の20~30代が結婚をしない理由は、男女ともにお金がないからです。そしていまだ男女間に給与格差が残っているとはいえ、女性も自力で生活費を稼げるようになったため、結婚をする意味が薄れているからです。

(産休・育休中に1馬力で家計を支えるのが難しいため少子化が進んでいるのも事実ですが、それはまた別の話なのでこの記事では触れません。)

アラサー世代以下は、生まれたときから男女雇用機会均等法がありました。しかし私たちの両親世代が若かったころは、女性は腰かけOL扱いされたり、結婚を機に退職に追い込まれたりするのが当たり前でした。世帯(夫婦)としては裕福でも、女性には経済的な自由があまりありません。

しかし2007年に法律が変わり、離婚時に夫の厚生年金を分割できるようになったため、熟年離婚に踏み切る人が急増しています。子供が独立したあとフルタイム勤務に戻り、ちゃくちゃくと貯金を殖やしている女性も大勢います。

VENGA読者の親御さんは熟年離婚をする中高年の中では若い部類だと思います。正規雇用でなくてもフルタイムで働いている既婚女性は多いでしょう。親世代の熟年離婚は他人事ではありません。

もしお盆の帰省で熟年離婚について相談されたとき、娘の立場から確認しておくべきことをまとめました。

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熟年離婚が増加する理由とは

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皆さんの周囲に離婚経験者はどのくらいいますか?地域や世帯収入によって差があると思いますが、案外多いのではないでしょうか。

2018年現在、「3組に1組が離婚する時代」と報道されるのをよく耳にします。そのまま受け取ると離婚率は3割以上に上ります。しかしこの数字にはからくりがあって、過去1年の離婚数を過去1年の婚姻数で割ったものなのです。

つまり新婚さんの数が減っているために見かけの離婚率が上がっているのですが、一生のうちに離婚を経験する確率を推測するにはある程度有効な数字であるといえます。

ちなみに私と彼の両親はともに離婚済です。私の友人たちの親御さんは「家庭内別居状態」「いまだにラブラブ」にくっきり二極化しています。子供が巣立ったあとに程よい距離感を保つのは難しいのかもしれませんね……。

女性の働く機会と収入の向上

男女雇用機会均等法が施行されたのは1985年のこと。33年経った現在も男女間に収入格差はありますが、性別を問わず働くのが当たり前となりました。

それ以前に社会人となった世代の女性は、結婚すると寿退職させられ、専業主婦になっていました。子育てが一段落したら働き始める人でも、扶養控除内(当時は年収103万円以内)に収まるように調整している人が多かったです。

現在は二馬力夫婦が増えています。育休制度の不備や待機児童問題、治安の悪化などもあって、結婚前のポジションに戻れない場合も多いのですが、もはや「女は家を守るべき」という考え方は通用しません。

離婚を決意した女性は、子供に手がかからなくなってからバリバリ働いて貯蓄を増やす傾向にあります。夫は「突然離婚を切り出された」と感じることが多いようですが、たいていの場合、自分の収入が安定するまで妻が耐えているだけです。

離婚時に夫の厚生年金を分与できるようになった

厚生年金は会社勤めの人が加入する年金制度で、収入に比例して月々の支払額・もらえる額が変わります。以前は離婚すると夫の厚生年金をもらうことができませんでした。

2007年4月1日以降は、夫婦間で合意すれば離婚後も妻が半分もらえるように法律が改正されました。

直接厚生年金を収めていたのは夫かもしれませんが、夫の扶養家族に入っていた妻の支えがあってこそであり、結婚している間に収めた分は共有財産だと考えられるからです。

専業主婦を続けざるを得ず、自分名義の厚生年金を積み立てられなかった妻は、不本意でも生きていくために一生我慢しなくてはいけませんでした。厚生年金も共有財産と認められたことで収入の基盤が安定するので、離婚を切り出す女性が増えました。

今後の収入プランをシビアにチェック

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実際に熟年離婚について相談された場合、私たちはどうすれば良いのでしょうか?

なにを置いても今後の収入!

本気で離婚を視野に入れている場合、もしくは、すでに夫婦間での話し合いが進んでいる場合は、とにかく現在の貯蓄額や今後の収入など金銭面を把握しなくてはなりません。

ずっと共働きで、両親ともに自分の稼げる力を把握している場合はあまり心配いりません。注意すべきなのは、専業主婦歴が長い場合や現在の収入が低すぎる場合、そして働く上での強みや資格がない場合です。

2018年現在は人手不足で売り手市場だと言われていますが、実際には職種によって求人倍率は全然違います。またスーパーのレジなどを見ればわかるように、かつてパートで賄っていた労働はすでに機械に置き換わりつつあります。

すでに50代、60代となっている人が特殊技能もなしに収入を増やすのは難しいでしょう。直近に問題がなくても、近い将来「老後」がやってきます。肉体的にキツい仕事に就けば、健康を損なって却って窮地に立たされるかもしれません。

共有財産や援助の有無

夫婦の共有財産が金銭のみなら分割は簡単なのですが、土地や建物などの分割が難しい財産があると話がこじれやすいです。

特に夫婦共同名義の持ち家でローンが残っている場合は、実際に離婚する前にどのように支払っていくか(あるいは始末するか)を話し合って合意しておかないと、泥沼になります。

また両親どちらかの生活が苦しくなる場合、子供世帯から援助ができるのかできないのか、あるいはするのかしないのかも話し合わなくてはなりません。

ただの愚痴はとりあえず聞いとく

非常に面倒くさいことですが、とりあえず愚痴りたいだけというタイプもいます。常に子供を愚痴吐きに使う毒親ならともかく、帰省したときや腹が立ったときだけなら、ある程度は「ふんふん」と聞くようにしましょう。

そんなこと言ってどうせ離婚しないんでしょ、とイライラする気持ちはわかります。が、上で書いたように厚生年金の制度も変わり、以前よりは離婚しやすい時代になっています。

積もり積もったものがあったり、歳を取って我慢がきかなくなったりで、十分な貯蓄やライフプランもないのに突発的に離婚してしまうこともあります。流し聞きでも構わないので、両親の考えをふんわり把握しておくのはリスク回避に役立つでしょう。

両親の健康状態と連絡方法の確認

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金銭面に問題がないのなら、次に把握すべきなのは健康状態と今後の連絡方法についてです。

親世代は今後病気やケガが増えていく

当たり前ですが人は誰しも老います。生活習慣病から実生活に障害があらわれたり、病気にかかりやすくなったり、ケガをする可能性が増えたりします。

夫婦で暮らしているのなら万が一のときにすぐ助けられますが、両親が今後1人暮らしになる場合は、双方の健康状態や連絡方法を確認しておかねばなりません。入院や手術となれば保証人のサインが求められるからです。

金銭面では母親の方が心配ですが、健康面では父親の方が心配です。家事をすべて妻に任せていた夫は、離婚後に食生活が荒れます。また(夫視点では)急に離婚を言い渡されたショックで心身を害する可能性もあります。もちろん父母が逆の場合もあります。

親子の縁はなかなか切れない

両親が離婚すると、どちらかの親(あるいは両方)と疎遠になる場合が多いです。子供から見てもどちらかに非があって、片方と没交渉になることもあるでしょう。

筆者は、母とは連絡を取っていますが、父には住所も電話番号も教えていません。少し前に父が癌になって手術をしたらしいのですが、その事実を知ったのはつい最近のことでした。

こういう緊急事態に「見舞いくらいは行きたい」と考える人もいれば、「万が一のことがあったら相続放棄をして親の借金から身を守りたい」と考える人もいるでしょう。

連絡はどの程度取るのか、完全に没交渉になるのか、没交渉になったときに問題はないのか、緊急時の連絡方法などはあらかじめ話し合っておきましょう。親子の縁を切るとは言いますが、法律上なかなかそう簡単にはいかないものです。

まとめ! 熟年離婚前に老後について確認しよう

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いかがでしたか?いまや結婚も離婚もそれぞれの自由で、誰に対して後ろめたいことでもありません。苦痛を我慢する必要なんて誰にもないのです。しかし現実問題、老いゆく親に何かがあったとき、支えるのは子世帯です。離婚に賛成でも反対でも、金銭や健康をはじめとした将来設計についてはきちんと話し合うべきです。

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