雨が降るとわかっているのになぜ6月?
アラサーになると結婚式の招待を受ける機会が増えます。特に20代の終わりは駆け込みゴールインが増えるので、ご祝儀貧乏になるくらいです。また平均初婚年齢が上がっているので、30代前半はまだ結婚ラッシュが続くでしょう。
ブライダル界隈では「ジューンブライド」信仰が今なお根強く残っているようです。レストランウェディングは5月のほうが多い印象ですが、式場は確かに6月推しです。女性ファッション誌のブライダル特集も4月~6月に組まれることが多いです。
でもジューンこと6月って、日本では梅雨の真っ最中なんですよね。2018年は空梅雨傾向ですし、沖縄はそろそろ梅雨も終盤に差し掛かっているそうですが、平年通りだと1年で最も長雨が続く季節です。事実上の雨季です。
なぜ6月の挙式、ジューンブライドがプッシュされ続けるのでしょうか?本当に花嫁の憧れなのでしょうか?
ジューンブライドとは
ジューンブライド(June Bride)を直訳すると6月の花嫁で、6月に式を挙げた花嫁は幸せになれるとヨーロッパで言い伝えられてきました。
ジューンブライド伝承の元はローマ神話です。ローマ神話の主神「ユーピテル(ジュピター)」のお嫁さんは「ユノー(ジューノウ)」という最高ランクの女神です。ユノーは結婚生活をつかさどる女神で、6月(June)の由来でもあります。6月に結婚した花嫁はユノーのご加護があるとされます。
ちなみにローマ神話はギリシア神話の影響を受けて体系化され、ローマ神話の神々はそれぞれギリシア神話に同一人物とされる神が設定されました。ユーピテルはゼウス、ユノーはヘラと対応しています。
由来はわかりましたが、現代のヨーロッパ諸国の多くが信仰しているのはキリスト教ですよね。日本人が教養(もしくは物語)としてギリシア神話を知っているように、ヨーロッパ圏の人が知っているのは当然です。しかし宗教的儀式でもある「結婚式」に他の神話由来の伝承を大切にするものでしょうか?
ヨーロッパで6月の挙式が歓迎されるのは、日本と違って気候がよく農作業が一段落する時期だからだと考えられています。
日本でジューンブライドが持ち上げられるようになったのは、1967年頃にブライダル業界が広告を打ったからです。ブライダル業界にとって6月は閑散期でした。現代と違って空調設備も整っていなかったし、神前式(白無垢を着るタイプ)も多かったので、雨の多い6月は商売あがったりだったのでしょう。
空調設備が普及するにつれ、日本ではジューンブライドが定着していきましたが、2010年の統計によると6月の挙式割合は別に特別多くないそうです。いくら除湿機能が上がっても、6月は祝日がないので新郎新婦もその家族も招待客も休めませんよね(苦笑)
ジューンブライドの注意点
少なくとも日本におけるジューンブライドはブライダル業界の宣伝で広まったというのが真実です。バレンタインのチョコのようなものですね。しかし一概にいいとも悪いとも言い切れません。
式代が安くなる
バブル期やVENGA読者の親世代とは違って現在は地味婚や手作り婚が主流です。というのも挙式と披露宴には結構なお金がかかるからです。現代の20代と30代はお金がなくて堅実です。式にお金をかけるより結婚生活のために貯めておきたいと考える人が増えています。
ブライダル業界としては1組でも多くのカップルに披露宴を上げて欲しいと考えています。式場に空きが出やすい6月は通常よりお値引きされていることが多いです。派手婚派にとってはありがたいですね。
招待客に嫌がられる
メリットがあるということはデメリットも必ずあります。最大のデメリットは招待客が集まりにくいということでしょう。若いうちは「ジューンブライド」という言葉の響きだけでテンションが上がっていた友人たちも、大人になるにつれ「雨の中、晴れ着で出歩きたくない」とテンションが下がっていきます。
また、上述のように6月には祝日がありません。遠方からの参加者にとっては週末が2日間ともつぶれてしまうかもしれない結婚式は「おめでたいけど参加したくない」のが本音でしょう。
ジューンブライドを執り行うなら、アクセスのよい式場やホテルを利用し、招待客の服装も考慮してお車代を多めに包む覚悟が必要です。
事前に対策を立ていい式にしよう
お金の話が多くて身も蓋もありませんが、大人になったからこそ雨の中の挙式が面倒だという感覚もわかるはずです。アラサーともなると責任の重い仕事も任されますから、有休を簡単に取れる人ばかりではありません。しかし良い式場が抑えられる可能性も上がるので、上手にジューンブライドを利用して幸せになってくださいね。