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【2018年】祝・100年ぶりの新種発見!「クマノザクラ」ってどんな桜?

はじめに

引用元: https://pixabay.com/

桜は北半球の温帯を中心に広く分布している広葉樹です。特に日本では観賞用途で愛されていて、国を代表する花の一つになっています。

日本には野生の固有種が10種類あります。この10種が自然と交雑を重ね、現在は野生種が100種程度あるとされています。ソメイヨシノのような人工的に交配して作られた園芸種はなんと200種類以上も存在します。

園芸種は日々改良を重ねられて増えていますが、野生種は自然まかせなのでほとんど増えることがありません。しかし2018年になって、おおよそ100年ぶりに野生の新種「クマノザクラ」がみつかったと発表されました。

ソメイヨシノによる遺伝子汚染(ソメイヨシノを植えすぎたため、貴重な野生種とソメイヨシノが交配してしまうこと)が深刻になっている現在、新種の発見は大変喜ばしいことです。

クマノザクラとは

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クマノザクラを発見したのは、国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所に所属している、勝木俊雄博士です。勝木博士は東京大学出身で、これまでにもオオシマザクラやエドヒガンなどの桜に関する論文をいくつも発表しています。

クマノザクラはヤマザクラの一種

引用元: https://www.ffpri.affrc.go.jp/press/2018/20180313/index.html

クマノザクラは紀伊半島に分布しているヤマザクラと似ています。素人目には区別がつきません。

以前から「開花時期が違うヤマザクラがある」「2回咲くヤマザクラがある」と言われていました。調査の結果、すでに知られているヤマザクラとは違う、完全な新種であることがわかりました。

オオシマザクラ以来約100年ぶりの新種発見

引用元: https://www.ffpri.affrc.go.jp/press/2018/20180313/index.html

これが今回発見された「クマノザクラ」の花びらです。ヤマザクラの一種らしく、控えめで可憐ですね。ソメイヨシノのような豪奢な桜もいいですが、クマノザクラのような慎ましやかな桜も魅力的です。

オオシマザクラの種名が決定されたのが1915年なので、クマノザクラは実に102年ぶりの発見です。正式な学名は2018年6月下旬に、専門誌で発表される予定です。

紀伊半島・熊野川流域に分布

引用元: https://www.ffpri.affrc.go.jp/press/2018/20180313/index.html

クマノザクラが分布しているのは、紀伊半島の中でも熊野川流域を中心とした、南北90km・東西60kmの範囲です。和名の「クマノザクラ」は熊野川から命名されました。

ヤマザクラやソメイヨシノより開花時期が早く、開花期間も長いという特徴があります。見た目も美しいため、観賞用として活用される予定です。研究が進めばクマノザクラを原種として園芸種も作られることも期待されています。近い将来、紀伊半島以外でもクマノザクラを楽しめるようになるかもしれませんね!

まとめ

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熊野参道を含む「紀伊山地の霊場と参詣道」は世界文化遺産に登録されています。古来からの自然が多く残る熊野から、新種の桜が見つかるというのは、なんだか神秘的な感じがしますね。クマノザクラの今後に注目していきたいです。

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