はじめに
2018年春。当初の予想よりもさらに早く桜が開花しましたね。東京都では3月17日に開花宣言が出されました。開花一番ノリだった高知ではすでに満開状態の樹もあるとか。
春分の日に一瞬冬へと逆戻りしましたが、順調につぼみが花開き、都内は29日ごろには満開になるそうです。これからの天気によって多少前後しますが、3月のプレミアムフライデーは絶好のお花見日和となりそうです。
ちなみに「桜の開花」の指標になっているのは、ソメイヨシノという品種です。日本でもっとも普及している桜で、観賞用として高い人気を誇っています。海外にプレゼントされることも多く、ワシントンの全米桜祭りが世界的に有名です。
あまりにもソメイヨシノが人気なので忘れられがちですが、桜には様々な品種があります。野生の桜と人工的に交配して作られた園芸品種の桜にわかれます。ソメイヨシノは園芸品種です。
本記事ではソメイヨシノ以外でメジャーな品種の桜にもスポットを当ててご紹介します。
ソメイヨシノ
各地の標本木になるほど普及しているソメイヨシノ。漢字では「染井吉野」と書きます。観賞目的で人工的に作られた園芸品種で、古来からある品種「エドヒガン」と「オオシマザクラ」(とその他2種)を交配した結果生み出されました。
江戸末期ごろ染井村(現在の駒込)の職人によって作られました。桜の名所として和歌に詠まれている奈良の吉野山から名前をとったのですが、紛らわしいため、村の名前を付け足して「染井吉野(ソメイヨシノ)」になりました。
親にあたる「エドヒガン」や「オオシマザクラ」よりも派手で華やかに咲き誇るため人気に火がつき、明治初期から日本全国に植樹されました。現在植えられているソメイヨシノはすべてクローンです。
理論上、ソメイヨシノに寿命はないと考えられていますが、人の多く集まるところに植えられているため弱りやすく、特に21世紀に入ってからは衰えの目立つものが増えています。全国各地の桜の名所では木の根元を踏まないように策を設けたり、専門家によって樹勢の回復が図られています。
ヤマザクラ
ヤマザクラは野生の桜で、2018年3月現在、日本国内では10種類が確認されています。新芽が芽吹くのと同時に花が開くので、ソメイヨシノとの見分けは容易です。和歌によく詠まれている吉野の桜はヤマザクラです。
かなり長寿の品種で、大きいものでは30メートルにもなります。同じ場所に植わっていても、個体ごとに差がでやすく、開花時期もズレやすい特徴があります。ソメイヨシノのように一気に咲いて一気に散るということはありません。
ソメイヨシノは開花期間が短いため、小学校などでは、ヤマザクラと交互に植えて見た目の開花期間を延ばすことも行われています。2018年のように開花がはやいと入学式を迎える前にソメイヨシノが散ってしまうからです。
ヤエザクラ
ヤエザクラ(八重桜)は特定の品種ではなく、ヤマザクラやサトザクラのなかで八重咲になるものを指します。八重咲というのは、花が咲くときに花びら同士が重なる咲き方のことです。
華やかに見えるので、愛好家が大勢います。花びらがふんわりと大きく派手になるものをボタン桜、細かい花びらが非常にたくさん重なっているものをキク桜という場合もあります。
ソメイヨシノより1~2週間ほど咲き始めが遅いので、関西から関東にかけては4月の中旬ごろに楽しめます。大阪にある造幣局の「桜の通り抜け」はヤエザクラです。東京だと新宿御苑が有名です。
オオシマザクラ
ソメイヨシノの親の1種である「オオシマザクラ」は花弁が白いのが特徴です。関東より南の海沿いから山にかけて自生していて、特に伊豆諸島に多いことが名前の由来となりました。
オオシマザクラは日本の固有種で、ソメイヨシノ以外にもたくさんの品種の親となりました。接ぎ木の土台になることが多いです。香りがいいことでも知られ、桜餅に用いられる塩漬けの葉はオオシマザクラのものです。
エドヒガン
ソメイヨシノの親の1種である「エドヒガン」は、非常に長寿であることで知られています。樹齢2000年越えの神代桜、樹齢1500年越えの薄墨桜、樹齢300年越えの石割桜などエピソードには枚挙にいとまがありません。
春のお彼岸ごろに咲くため「エドヒガン」と呼ばれています。開花時期はソメイヨシノより早いです。しだれ桜が多いのも特徴の1つです。
まとめ
桜の品種の中でも有名なものをご紹介しました。ソメイヨシノばかり目立ちますが、注意してみると街中でも様々な桜が植えてありますよね。新宿御苑には約65種もの桜が植えられています。ソメイヨシノ以外の桜にも注目してみてください!