はじめに
2018年3月の第3週はポカポカと暖かく、初夏の陽気になった地区もありました。ところが第4週に入ると急激に気温が下がりました。天気予報は一斉に「寒の戻りに注意」と報じています。
天気予報を聞いていると、日常生活では滅多に耳にしない用語がしばしば使われていますよね。予報を通して聞くとなんとなく意味がわかるので特に気に留めていない方が多いと思いますが、大人の女性として教養を身に着けておくに越したことはありません。
30代以下の若い社会人はネット検索に慣れています。知らない単語があるとすぐに調べるでしょう。わからないまま放置して調べることすらしないよりはましですが、若いころにネットがなかった世代から見ると「知らなくて当然」「その場で調べればいい」という態度は「最近の若い者は…」とため息をつきたくなるようです。
年の離れた上司や取引先の人との会話で恥をかかないように、春によく耳にするお天気用語を解説します。
寒の戻り
寒の戻りとは、春がきて気温が高くなったあと、一時的に真冬のように異常に寒くなる現象のことです。5月ごろに使われることが多いのですが、2018年3月は、5月並みの暖かさになったので「寒の戻り」と言って差し支えないでしょう。
類義語は「花冷え」です。桜の咲くころに気温が下がることを指します。
今回の寒の戻りは、大陸方面から発達してきた前線が影響しています。南方から暖かくて湿った空気が流れ込むため、雨雲が発達します。雨が降ると気温が下がってしまうというわけです。
三寒四温
「三寒四温」とは冬から春に季節がうつりかわるころに使われることわざで、寒い日が3日ほど続いたあと、暖かい日が4日ほど続き、また寒くなる。それを繰り返してだんだん春に近づいていく現象です。
もとは中国や朝鮮半島でうまれた言葉で、シベリア高気圧が7日周期で発達を繰り返すことによって「三寒四温」が起こります。日本でも一部影響を受ける地域があるので、春が近づいてくるさまを表すときに使われることがあります。
花曇り
桜が咲くころに続く曇り空や天気の悪さを指します。寒の戻りの項目でも少し触れましたが、春は空模様が不安定で、天気がころころと移り変わります。移動性高気圧と低気圧がかわるがわる訪れるからです。
ただでさえ桜は満開の時期が短く、散りやすいのですが、ちょうど花曇りと重なるので実は晴れ空の下でのお花見は貴重なんです。もちろんずっと曇っているわけではありませんが、満開と休日と晴天が重なるのは珍しいです。
休日を前にして、花曇りの悪天候で花が散ってしまうことはままあります。2018年も暖かくなったあと「寒の戻り」が来て、しばらく雨が続くので桜の様子が心配ですね。まだ開花宣言がされたばかりで、ほとんど花弁が開いていないので、散ってしまうことはないと思いますが、満開日はズレると思われます。
小春日和は冬(秋)の言葉
「小春日和」には春という漢字が入っていますが、秋から冬にかけて用いる言葉です。旧暦10月(=10月~12月)のことを「小春(しょうしゅん)」といいます。10月ごろの気候が春と似ているため、小春と称しました。
ですので春の暖かい日に「小春日和」というのは誤りです。また秋から冬にかけての小春日和は穏やかな晴天であるという特徴もあります。花曇りが続く3月や4月とはそぐわない言葉ですね。
まとめ
あまり耳にしない言葉も、語源や意味をしると天気予報を見る目が変わりますね。最近は手紙を書く風習も廃れましたが、メールでも折々の挨拶に正しい言葉を使える人は、やはり一目置かれると思います。