はじめに
春は出会いと別れの季節。新たな旅立ちにまつわる悲喜こもごもを今年も桜が見守ってくれています。
3月に入り、急に暖かくなりましたね。2月半ばまでは滅多にない非常に厳しい寒気が日本列島を覆っていましたが、一転して3月は例年より気温が高い日が続くと予測されています。3月1日には近畿と東海で、3月2日には都心部で春一番が吹きました。気温だけ見ればゴールデンウィーク並みの陽気に包まれています。
一気に気温が上がった影響で2018年の桜の成長は例年に比べると早まり、都内では3月22日ごろに開花するとみられています。九州は3月19日ごろ、近畿や中国、東海は3月22日ごろの予測です。本州でもっとも早い予想は、静岡県の3月19日です。
それでは桜の開花する仕組みや桜前線と各地の満開情報について詳しくみていきましょう。
桜が開花する仕組み
お花見の季節になると「3分咲き」や「5分咲き」、「満開」といった表現をよく耳にしますよね。そもそも桜はどういう条件が揃うと開花するのか、どういう状態を「開花した」とみなすのでしょうか。
桜はバラ科の植物で、白~淡いピンク色の花弁が5枚ある花を咲かせます。皇室を象徴する菊とともに日本の国花とされています。満開時の華やかな様子や、あっという間に散ってしまう儚さが国内のみならず海外でも人気を博しています。
現在ではさまざまな国にプレゼントされている桜の樹(ソメイヨシノ)ですが、実は日本産の桜は四季のある国でないと花を咲かせることができません。
桜のつぼみは夏にできます。その後、秋から冬へと気温が下がるにつれつぼみは休眠状態に入ります。厳しい寒さの中で一定期間休眠すると「休眠打破」が起こります。目覚めたつぼみは気温の上昇とともに成長し、やがて開花するのです。たまに秋口に気温がいったん下がり、その後暖かい日(小春日和)が訪れると、狂い咲きが起こります。
開花のきっかけは気温の上昇、つまり春のおとずれですが、つぼみが成長するためには冬を越さないといけないなんて、なんだか不思議ですよね…。
2018年は1月と2月の気温こそ低かったのですが、3月に入って気温が急上昇したので、これまでの成長の遅れを取り戻し、例年より早めに開花するだろうと予想されています。
桜前線って?
開花は気温の上昇によって促されるので、基本的に緯度の低い九州方面から咲き始め、日本列島を北へむかって縦断していきます。桜の開花日や満開日を線で表したものを「桜前線」といいます。メディアの造語ですが、素敵な言葉ですよね。
開花の予想に使われる品種は「ソメイヨシノ」です。日本にはヤマザクラなどさまざまな品種がありますが、江戸末期に交配によってつくられたソメイヨシノの人気は圧倒的で、全国各地に植えられているからです。
かつては気象庁が開花予想を行っていましたが、2010年以降は民間の事業者が行っています。全国に「標本木」という観測用の樹を定め、一般的には標本木に5輪以上の花が咲いたらその地区は「桜が開花した」とされます。
デジカメやスマホが個人にも普及したため、現在ではネットを利用して個人から情報をつのり、1輪でも咲いたら「開花」とする場合もあります。ちなみに満開は標本木のつぼみの80%以上が開花している状態のことを指します。
気温によって多少差が出ますが、開花してからおよそ1週間で満開にいたります。風雨に邪魔されなければ満開になってから1週間程度は桜吹雪が楽しめます。ただし「花曇り」という言葉があるように、ちょうど桜が咲くころに天気はぐずつきます。お花見のセッティングが難しいのは自然現象が原因なのでどうしようもないですね。
東京の開花は毎年早め
桜前線を見ると、東京は毎年ほぼ一番乗りで桜が開花していることがわかります。基本的には気温の上昇にしたがって前線が北上していくことは間違いないのですが、なにごとも例外はつきものです。
都市部ではヒートアイランド現象が起こっています。生活するうえで出る熱や、アスファルト化した地面から発生する熱が街をドーム状に覆う現象です。東京はこれが顕著で、平均気温が高くなっています。
また観測に用いるソメイヨシノは江戸で生まれた観賞用の品種なので、街中にたくさん植えられています。ヤマザクラなど野生の品種で観測すると、開花日はまた違った結果になるかもしれませんね。
まとめ
主に都内の開花情報と、開花の仕組みについてみてきましたがいかがでしょうか。22日に開花するということは3月末~4月頭の休日には盛大な桜吹雪が舞っているでしょう。今後も天気のうつりかわりに注目して、お花見にベストなタイミングを見極めていきましょう。