はじめに
2017年、大物プロデューサーによる悪質なセクハラがハリウッド女優によって告発され、大きな話題を呼びました。「#MeToo」運動は日本にも波及し、男性から女性へのセクハラだけでなく、女性から男性への逆セクハラも議論の的となりました。
セクハラをはじめとする各種ハラスメントに対する意識は、ここ10年ほどで急速に高まったと感じます。ハラスメント意識の薄い世代に向けた講習を行うなど、セクハラ撲滅を目指す企業も増えました。しかし#MeToo運動が示す通り、まだセクハラは世間にはびこっています。
男性上司のボディタッチや寿退社の強制など、わかりやすいセクハラは減りつつありますが、その分新たに問題視されるようになったのが、わかりにくいセクハラです。特に同性同士のセクハラは、逆セクハラに比べて「なぜいけないのか」「何が嫌がられるのか」がわかりづらいのが特徴です。
セクハラ親父たちのお決まりの言い訳は「まさかそんなに嫌がっているとは思わなくて…」ですよね。彼らが鈍感さを武器に女性を傷つけていたように、私たちも気づかないうちに身近な人を傷つけているかもしれません。
同性同士でもセクハラになりかねない話題とその理由をまとめました。
恋愛に関する話題
2015年の平均初婚年齢は男性31.1歳、女性29.4歳でした。東京や神奈川では男女ともに30歳を超えています。
30代以上の女性が夫ではなく彼氏の話、つまり恋バナをするのは今や当たり前といえます。しかし職場において恋愛に関する話はご法度と心得ましょう。
彼氏(夫・いい人)いないの?
これはわかりやすいですよね。親や親せきから言われるとイラッとしてしまうワードです。
婚活や恋活にいそしむ人がいる一方で、生涯独身を貫くと決めている人もいます。特に自分から話題に出していない人に、恋人の有無を聞くのはあまりいいことではありません。
さまざまな理由でパートナーの有無を隠しておきたい人もいますし、単純に恋バナが嫌いな人もいます。話の流れで訊いてしまうことはあるでしょうが、相手が乗り気でない様子を見せたなら、すぐに話題を変えるようにしましょう。
好みのタイプ
異性の好みのタイプを質問するのも、嫌がられる場合があります。職場にはさまざまな男性がいるでしょう。異性の好みについて言及すると、間接的に男性社員に対する逆セクハラになる可能性もあります。
例えば男性社員が好みの女性について「胸の大きい人」「足のスラッとした人」などと話していたら、セクハラと感じますよね。外見にせよ性格にせよ、恋愛に関する話題は職場では不適切と言わざるを得ません。
LGBT関係
忘れてはならないのは、すべての人が異性愛者ではないということです。LGB(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル)の人や、トランスジェンダー(性同一性障害)の人もいます。知らないうちに差別につながる発言をしないよう気を付けなくてはいけません。
妊娠・出産に関する話題
これも親や親せきに口を出されたくない人が多いので、理解しやすいと思いますが、妊娠や出産に関することもデリケートな話題です。マタハラやパワハラに繋がりやすい側面もあります。
産休や育休はすべての社会人に与えられるべき当然の権利ですが、実際問題、産休や育休・時短勤務などは周囲の協力がないと成立しません。だからといって他人の妊娠・出産について口出ししたり様子をうかがうべきではありません。
親切心で言ったつもりの言葉が相手を傷つけたり不快にさせることもあります。不妊治療を受けている人もいるかもしれません。相手から相談されない限り、話題に出さない方がいいでしょう。
「職場」であることを意識した話題選びを
「制限が多すぎて何も話せない」「考えすぎでは?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。しかしハラスメントやいじめは、された側が嫌だと感じたら成立するのです。
そもそも職場とは仕事をする場であり、友人を作る場ではありません。話題が少なくても問題ないのではないでしょうか。仕事さえこなせれば、お互いのプライベートを細かく知っている必要はありませんよね。
職場に気が合う人がいて、プライベートでも仲良くなることはあります。でもそれを職場すべての人に求めることはありません。まずは仕事が第一。仲良くなれたらラッキー、くらいに考えて、あまりお互いのことを詮索しないのが吉です。
まとめ
ハラスメント問題は難しいですよね。法的にも倫理的にもアウトなものはともかく、「人による」としか言いようがない部分もあると思います。大事なのは相手を思いやる気持ちです。
人が嫌がることはしない、もししてしまったら素直に謝罪する。個人が尊重される時代だからこそ、全員が少しずつ思いやりの気持ちをもっていられたら素敵ですよね。